小説が読める！投稿できる！小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ！

真の男

　鸚鵡たちはリツイートやシェアに躍起になっているが、彼らは何を見てそれを知ったのだろう。何も見ていないのに、何も知らないのに、人に聞いたことをそのまま言っているだけではないか。自ら経験して知ったことや、こつこつ学問をして自ら辿り着いた結論を、自ら著述するわけでもなく。
　アレクサンドリア図書館は壊されてしまったが、心ある私たちの父母祖は、とうに町という町に図書館を再生してくれた。情熱さえあれば誰もが金を支払うことなく、昔の人々と議論して自分の疑問を探究できる。
　それなのに世人は、市場原理によって売られるに至ったものを買い、安直な恣意性によってインターネットに流布されるに至った情報を聞き、他人に聞いたままに言うだけで、古人が残してくれた英知を学んだ上で経験と照らし合わせ、独創的に探究し創造するということがない。図書館は壊れていないが、今では人間が壊れてしまったかのようだ。
　私と君とは、すっかり浮き世離れしてしまって、面妖なる奇人として皆に軽んじられているが、気にすることはない。自ら見て自ら知り自ら作る、真の男は、必ず皆の役に立てるのだから、ご苦労にも謗る蒙昧なる者どもなど相手にしないで、学びまた経験して知ったことを著述することに励もう。
　友よ、それにしても、古人の徳風は今いずこを吹いているのだろうか。けだしただ我らの心の中に違いない。