Bhikkhugatika
当世的小話集
Unique
「ユニークですなあ」
「ええ、小さな笑いを誘いますなあ」
「え?ユニークというのは、独自の、とか、独創的、というほどの意味ですよ」
「そうなんですか。でもそれはやっぱり、小さな笑いを誘うものじゃないですか」
自己探求
「私最近、自分探ししてます」
「結構ですな。どうやって探してらっしゃるんです?」
「どうやってって…とにかく探してるんです。友達に聞いたりとか、インターネットで検索したり、占い師を紹介してもらったり。たまに」
「でも、あなたはここにいるのでは?」
「そうですけど、自分で自分を見ることはできないんですよ、きっと」
「そうなのかどうか、やってみて調べてみればわかるんじゃないですか」
「めんどくさいです」
稀なり
「有り難う」
「それはどういう意味なんです?何がどう有り難いことなのです?なぜ有ることが難しいということになるのでしょうか」
「あなたは唯一無二の存在ですから、その行為もまた宇宙にただひとつです。それを私の為にとしてくださったのですから、いやはや、有り難いことです。また他人の為にと自己へのこだわりを離れることは容易なことではありませんから、この点においても真に有り難いことです」
市場主義
「あなたの仕事はなんですか?」
「読書です」
「なんですって?本なんか読んでもお金がもらえないし、それは公共的な務めではないではありませんか。読書は趣味でしょう?公共性のない、どこまでも個人的な」
作品名:Bhikkhugatika 作家名:RamaneyyaAsu