Bhikkhugatika
雨降って夜知己と遊ぶ
雨が好きなのは、畑が湿るからではない。雨が山を美しく濡らすのもよいものだが、君とこうして話せることに比べれば、なにほどのものでもないのだ。
遠く離れて生まれ育ち、血の繋がりもないし、見てくれも似ても似つかぬが、心は瓜二つの私たち。幼い頃から、大人たちのごまかしが嫌いだった。怠情と欲望に従順で、自らの知性を用いることに臆病な、原因と結果を見ることなきあの死人よりも死人らしい死屍たちとは、目を合わせるのも怖かった。
真理への情熱と、古の人々の遺志を胸に、独創的な学問に励んでようやく生に矜持を得た私と君。いま市場経済の騒がしい世間を離れて、一農夫としてたまたまこの美しい辺境で出会うことができたが、いやはや、稀有な幸せがあったものである。
あんまり楽しいので、ちょっと飲みすぎてしまったようだ。私はもう寝るから、君は帰りたまえ。明日もどうせ雨だから、君さえよければ、朝早くに紙を持ってまた来てくれ。明日こそは紙に書いて、暴力の原因と結果を、いよいよ明らかにしようじゃないか。けだし我々がいま為すべきことは、正にそれなのだからね。
作品名:Bhikkhugatika 作家名:RamaneyyaAsu