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上社(兄)の758革命

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第2章 フリーパス



『ゲリラ攻撃の可能性があります。屋内に避難し、テレビ・ラジオをつけてください』

 緊急事態を知らせるJアラートのサイレンとアナウンスが、街中に鳴り響いている。CROSSに攻撃されていることを告げているのだが、すでにわかっていることであった……。
 さらに、パトカーや救急車などのサイレンも、どこかからか鳴り響いてくる。どこかの現場へ向かっているのか、当ても無くただ彷徨っているのだろうか。どちらにしろ、ガソリンの無駄遣いで終わるに違いない……。
 救急車や消防車はともかく、パトカーが近づいてくるたびに、上社は警戒する。可能ならば何発か撃ちこんでやり、敵勢力の削減に貢献した。

 目的地である東京証券取引所まで、道のりの半分ほど進んだとき、急に渋滞に巻き込まれてしまった……。都会に渋滞につきものだが、少なくとも信号待ちによるものではないようだ。歩道でも、人の渋滞が起きている。
 目をこらして前方を確認してみると、次の交差点のところに、赤色灯の光がチラチラと何個か見える。どうやら警察が、検問所を置いたらしい。ただ、実際は道路封鎖でしかないようで、車や人を通過させていない。そのせいで、クラクションや怒声が、渋滞のあちこちからあがっている……。おそらくだが、ここにいる大半の人々は、これが758革命による混乱であることなど知らないだろう。
 警察が警戒しているのは、上社たちCROSSなわけだが、ほとんどのCROSS隊員は、私服でこの758革命にのぞんでいるため、民間人との見分けがつかない。そんな理由で混乱しているのだろうが、ただ手際が悪いだけのようにも見えた。

 上社は、渋滞で待ちぼうけをくらわされているつもりはなく、パトカーから武器を持って降りる。検問所への偵察だ。可能ならば、警官たちを排除するつもりでいた。
 彼はレーザーライフルを持っていたので、検問所の警官に見つからないように、ほぼ立ち往生の車で覆われている車道を慎重に歩く。おとなしく車内で待っている運転手や歩道の民間人が、彼を不審そうに見ていたが、そのまま見て見ぬふりを決め込んでくれた……。その無関心さに、彼は心の中で感謝していた。


 検問所がある交差点から20メートルのところで、彼は歩みを止め、大手運送屋のトラックの後ろから検問所の様子を伺う。
 その検問所は、パトカー数台と機動隊の現場指揮官車が、十字交差点を陣取る形で設置されていた。急ごしらえの検問所兼防御陣地というわけだ。都内の警察署が次々と音信不通となっていることから集まっているのだろう。急ごしらえの簡素な検問所だが、警官は20人以上もいる。
 上社は、自分のパトカーで強行突破しようかと考えたが、この検問所は放置しておけば、やっかいな1つの防御拠点にまで発展してしまうかもしれない。なので彼は、取引所に向かう前に、この検問所を潰すことにした。
 ただ、いくら最新の武器があるとはいえ、1人で多人数を正面から相手にするのは不利だ。まずは、策を練らなければならない。

「おい、おまえ!!!」

 だが、トラックの後ろで作戦を練っていると、警官の1人に発見されてしまった……。トラックの荷台による死角のせいで、5メートルぐらいにまで接近を許してしまったのだ……。
 上社は舌打ちすると同時に、自分を見つけた警官をレーザーライフルで駆除した。レーザー弾が命中した警官は、たちまち白い粉末と化し、すぐ近くの車のフロントガラスに降り注いだ……。