上社(兄)の758革命
「閃光発音筒を使え!」
『了解』
敵集団のリーダーらしい隊長が部下の兵士に、上社たちが潜む地下へ、閃光発音筒というスタングレネードを投げ落とすよう命令した。一気に突入して、片をつけたいのだろう。命令された兵士は、腰からスタングレネードの缶を取り出すと、安全ピンを抜いた。次に、安全レバーを外す。
シュイーーーン!!!
敵兵が、スタングレネードの安全レバーを外したとき、どこからか、高速推進音が聞こえてきた……。音の正体はわからないが、こちらへ接近しているということぐらいは誰にでもわかる。
「伏せろ!」
隊長が言い終わると同時に、敵兵たちはその場に伏せた。しかし、その拍子に、あの敵兵が安全レバーが外れたスタングレネードを落としてしまい、拾う余裕も無く、その場で閃光と爆発音を起こした……。モロに喰らった敵兵たちは、うめき声をあげる……。
立ち並ぶ建物の間を1発のミサイルが飛んできた。狭苦しいビル街の空中スペースを、その誘導ミサイルは苦も無く飛んでおり、敵集団のほうへ向かっていく。その誘導ミサイルは、CROSS艦から発射されたもので、異次元最新レベルの誘導ミサイルであった。
すぐ近くまで接近してきたとき、そのミサイルの弾頭部分が4つに分裂した。その4つは小型ミサイルで、それぞれの目標へと飛んでいく。残された推進部分は、そのまま地面に落下し、広がるような急激な火災を起こした。4つの小型ミサイルとナパーム弾で構成された誘導ミサイルというわけだ。
4つの小型ミサイルは、それぞれ1台の敵戦車を撃破した。4台の戦車が一気に撃破され、残り1台の戦車は、次のミサイル攻撃に備え、目立たない位置に移動しようとした。
敵戦闘ヘリも同様に、できるだけ目立たない位置に移動して、滞空するしかなく、地下との出入口への監視に死角ができてしまった。
そして、隊長を含む敵歩兵たちだが、3分の1近くがナパーム弾による急激な火災に巻き込まれてしまい、その負傷兵たちの応急処置を始めていた。残りの敵兵たちは、周囲の警戒にあたる。しかし、スタングレネードによる閃光と爆発音の影響で、感覚が一時的におかしくなってしまったようだ……。
その一時的なスキを、上社たちは見逃さなかった。敵集団が誘導ミサイル攻撃に気を取られている間に、避難通路や点検通路を使い、地下から地上に移動したのだ。
上社は総務省舎に移動しており、しっかりとした机の上にレーザー機関銃を置き、そのまま連続レーザー弾を発射した。総務省舎内にある国家公安委員会のオフィスから放たれたレーザーは、窓ガラスにきれいな円形の穴を開け、敵集団に襲い掛かる。
レーザー機関銃からの排気が、オフィスの机に積まれている書類を舞い上がらせる……。職員はおらず、床に落ちていくそれらを拾う者はいない……。
上社の攻撃を待っていたらしく、他の隊員たちも攻撃を始めた。
全員が高い階から下の道路にいる敵歩兵たちに攻撃したので、向かい合う位置にいても誤射する恐れは無かった。
そのため、開けた道路に死角はあまり無く、次々に敵歩兵が倒れていく。放置されていた数台の車の影にうまく隠れることができた隊長たち生き残りは、ミサイル攻撃を避けるために移動していた敵戦車1台と敵戦闘ヘリの支援を求めた。
作品名:上社(兄)の758革命 作家名:やまさん