上社(兄)の758革命
ピューーーーーーーー!!!
強風のような連続音がその場に鳴り響くのと同時に、固定式のレーザー機関銃が、直線状の長いレーザー弾を放つ。CROSS側が先制攻撃に成功したのだ。
長いレーザー弾は、敵兵たちを次々に粉末に変えていく。あっという間に、敵兵たちをどんどん倒せることに、敵だけでなく上社たち隊員も驚いているほどであった……。
しかし、双方にのんびり驚いている余裕は無く、すぐに本格的な戦闘となった。レーザー弾と鉛玉が、すれ違いに飛んでいく。
自衛隊のエリートの中央即応集団である敵集団は、日頃の訓練の成果を発揮すべく必死に戦う。それに対して、CROSSは、異次元最高水準とされる兵器をうまく使いこなし、快適に戦う。
自動補正されたレーザー弾が敵兵に命中する。素人でも扱える銃というものは、大きな意味を持つ。上社たちが使っているレーザーライフルだけの話ではなく、AK47もそうだ。強力なレーザー弾は、乱射するだけでも効果があるだろう。
それに対し敵集団は、89式自動小銃を使っており、自慢の腕前を駆使している。しかし、その腕前を本格的に発揮できるのは、狙撃や指切り射撃だけであった。なぜなら、上社たちの背後には、皇居の桜田門があり、流れ弾でそれにダメージを与えるのは避けなければならないからだ……。
もちろん、これもCROSSの作戦だ……。もし敵集団がダメージを与えれば、そのことを宣伝材料として利用するつもりなのだ……。果敢に戦うCROSSの写真といっしょに、『極悪非道なテロリスト、皇居を攻撃』という大文字を入れる具合に……。
「卑怯者!!!」
敵集団の1人が、上社たちに向かって悪態をついたが、その返答はレーザー弾の集中直撃であった……。敵兵だった粉末が、そばにいた敵兵に降りかかる……。
敵集団の歩兵たちは、序盤では、上社たちの応戦を少しずつ押しのけることができていたが、やはり科学技術の大きな差を埋めることはできず、上社たちに押し戻されていた。
そんな敵集団の歩兵たちを支援するために、数台の戦車と2機の戦闘ヘリが、上社たちのほうへグイグイ進んできた。戦車砲やロケット弾が、上社たちを襲ったが、素早く地下に降りて、破片や爆風から逃れていた。狙撃担当の隊員は、戦車の影に隠れている敵兵を何人か倒したが、敵戦闘ヘリに気づかれてしまい、大急ぎで屋上から降りるしかなかった。
勇敢な上社は、次の攻撃を受ける前に、また元の配置に急いで戻り、レーザー機関銃の連続レーザー弾を、戦車の車体一部分に集中照射した。連続レーザー弾を受けた衝撃で、戦車は急停止した。
連続したレーザー弾の集中照射を受けている戦車のその部分は、たちまち赤くなり溶けた。それからすぐに、車体の反対側から連続レーザー弾が飛び出した。見事、堅牢な戦車の車体を貫通したというわけだ……。積んでいた砲弾に引火したらしく、その戦車は爆発炎上した。乗員に逃げる余裕は無かった……。
残りの他の戦車数台は、やられる前にやろうと、構わずに堂々と前進してきた。さすがの上社も、1人でレーザー機関銃を使い、数台の戦車を相手に戦うのは無理であり、彼は悔しそうに地下に隠れた。
戦車の砲弾の破片が、地下鉄の駅名表示を粉々にカチ割った。戦闘ヘリ3機は、その地下への出入口の上でホバリングし、上社たちが地下から出てこないよう見張っていた。ホバリングによる降りてくる風が、地下にいる上社たちの髪をなびかせる。
そのまま地下に隠れているわけにもいかないので、上社は航空支援を要請した。
「支援攻撃を求む!」
『了解した。誘導ミサイルを使用する』
その間に上社たちは、地下鉄構内にある地図を見たり、残っていた駅員に詰問し、他の出入口を素早く把握し始めた。
作品名:上社(兄)の758革命 作家名:やまさん