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上社(兄)の758革命

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「革命って最高だな!!!」

 酒を飲みながらそう叫んだのは、東京駅担当の分隊でいっしょだった岩国だった……。休憩中とはいえ、大事な任務の前に酒を飲むなど非常識である。しかし、すでに彼の顔は真っ赤であった。
「欲しい物や金をどんどん手にいれることができた!!! ほら!!!」
彼は馬鹿笑いしながら、両手にある札束を近くにいた隊員に、得意げに見せびらかす……。
 しかし、その近くにいた隊員はもちろん、上社を含む他の隊員たちは、シカトを決め込んだ。もちろん、その中の一部の隊員も、岩国のように「役得」を手にしていたが、堂々と自慢する気にまではなれなかった。

『敵集団が接近している!!! ただちに迎撃態勢に入れ!!!』
突然、CROSS艦から連絡が入った。さすがに、岩国もすぐに黙る。いっしょに艦から輸送されてきた3D立体式レーダーが、敵集団の位置を表示する。
 敵接近の知らせを聞き、上社たちは、大急ぎで迎撃態勢を取る。たき火を消し、銃口を敵集団に向ける。
「敵を距離100メートルまで引きつけ、各自応戦せよ」
『了解』
上社たちが使用しているレーダーも、もちろん異次元最新レベルのものであり、一人一人の敵の位置を、3D立体式で正確に示してくれていた。上社たちは、その情報を元に、どこにどれぐらい配置するのかを素早く決めることができた。敵集団が、歩兵だけでなく、戦車や戦闘ヘリなどでも構成されていることもわかる。戦闘服についている水色と日の丸のシンボルマークも見えるほど精細だ。

 一方、敵集団は、レーダーや無線通信をジャマーで無効化されており、長年の経験と勘だけを頼りにしているようだ。だが、上社たりの待ち伏せに気がついているようには見えない。
 なぜなら、CROSS艦の最新鋭コンピューターが、情報操作しているからだ……。コンピューターの人工音声が、敵集団にウソの情報を与えている。本物の通信員の声からつくりだした人工音声なので、敵集団は、何の疑いもなく、上社たちの待ち伏せを受けることになるというわけである……。

 その敵集団とは、自衛隊の中央即応集団であった……。「CROSSの日本」と化した今、CROSSに逆らうものは、テロリストという扱いであった……。そのためか、本来の数よりも少なく、有志の集いらしかった……。

『座間より04、敵は、国会前交差点に防御陣地を築き、南方に兵力を集中させております。桜田門交差点側から回りこむ形で攻略してください』
「04、了解」
敵集団は、CROSSのコンピューターの人工音声によるウソ通信に、見事にひっかかってくれていた……。未知の敵(CROSS)を相手に、混乱しているせいであろう。すでに、防衛省を含むすべての省庁は、CROSSの管理下におかれており、サポート体制がほとんど皆無の有様なのだ……。

 敵集団は、ウソの目的地に向かって進んでいく。もちろん、警戒態勢をとっていたが、大勢のCROSS隊員が待ち伏せしているなどとは思っていないようであった……。
 CROSS隊員たちは、初めての本格的な戦闘を前に緊張している者が多かったが、最新鋭の装備があるという安心感と、戦死か死刑かという恐怖感が、緊張感を排除していく……。

 そして、両陣営はすぐ近くにまで接近した……。