上社(兄)の758革命
「……すみません。案内所のほうへ行っていただけますか?」
事務所に入ると、たまたまそこにいた駅長が分隊長に言った。上社たちは、レーザーライフルを持って武装していたわけだが、彼らを見た駅長は、変わり者かキチガイの連中がやって来たとしか思わなかったようだ。だが、
「この駅を閉鎖しろ!!!」
分隊長がそう叫びながら、自分へ銃口を向けてくると、大変なことが起きたとすぐに察知してくれた……。
「え? そう言われましても、そんなことできませんよ……」
駅長はしどろもどろにそう言うしかなく、事務所にいた女性事務員に目配せした。女性事務員は、机の下にある通報ボタンをこっそり押した。
「これでもできないことなのか?」
分隊長は少しイライラした口調でそう言うと、女性事務員をレーザーライフルで撃った。彼女の頭部に白いレーザー弾が命中する……。
次の瞬間、レーザーライフルで撃たれた女性事務員は、悲鳴を発することなく一瞬で、小麦粉のような粉末になった……。それを見た駅長は震えあがり、
「い…今すぐします!」
すぐに駅内アナウンスのところへと向かっていった。
「どうかしましたか?」
そのとき、駅の警備を担当している2人の警察官が事務所に入ってきた。駅長は思わずほっとし、もう大丈夫だと思ったが、それからすぐに落胆することとなる……。
「こうするのさ」
なぜなら、上社がすぐに、その2人の警察官を粉末にしたからだった……。
その後すぐに、改札口にシャッターが下り、大勢の利用客らはそこで足止めを喰らう羽目になった。駅長からの指示(爆弾テロの予告があったということにしておいてもらった。)を受けた駅員たちは、戸惑ったり怒ったりしている利用客への対応に追われていた。
「おい!!! どういうことだ!!!」
会社では威勢よくなさそうな中年会社員が、近くにいた若い駅員に喰ってかかっていた……。ちょうど日曜出勤でイラついていたようで、駅の閉鎖で火がついたようだ。
「ご迷惑をおかけします!!! 爆弾テロの予告があったということで、ホームは立入禁止となっております!!!」
駅員は必死にその会社員をなだめていたが、立派な社畜らしいその会社員は、ただ怒り狂っていた……。普段から、駅員に向かって怒っているような感じだ……。
上社たちは、改札口の前に横一列に並び、そんな光景を眺めていた。利用客の何人かが、上社たちを見て、何か喋ったり叫んでいたが、一々返事をするのがめんどくさいので、ただ無視していることにした。
見張っているだけで他にやることが無いので、上社は、スマホをズボンのポケットから取り出した。
『東京駅で何かあったみたい!』
LINEに、彼の弟(上社鳴海)からメッセージがきていた。ネットではもう情報が出回っているらしい。その東京駅での何かを起こしたのは、上社たちだ……。
『東京中で大変なことが起きているみたいなんだけど、兄ちゃんは何か知らない?』
さらにメッセージがきた。言うまでもなく、上社たちCROSSがやっている件だ……。上社は、弟にどういう返事のメッセージを返してやるべきかを考えていた。すると、
『兄ちゃん!!! 何やってるの!!!』
どうやら、上社たちCROSSがやっていることがわかったらしい……。しかも、添付されていた画像には、上社たちが写っていた……。
上社たちは、CROSSの帽子を被っていたので、すぐにバレることはわかっていたことだったが、上社はばつが悪そうだった……。少なくとも、まだ小学5年生である上社鳴海には、少し刺激が強いイベントだからだ……。
作品名:上社(兄)の758革命 作家名:やまさん