上社(兄)の758革命
第5章 奪還阻止
なぜなら、CROSS艦から次の指令が入ったからだ。佐世保を除く上社たちは疲れている様子だったが、指令を断るにはいかない。
その指令とは、「テロリスト」(この指令が出た時点で、日本はCROSSの手に落ちていた)の攻撃があるようなので、桜田通りに防衛陣地を築き、「テロリスト」を迎撃せよというものであった……。
この指令は、東京23区内に展開しているCROSS隊員全体への指令だったため、上社たちはその場から移動せずに済んだ。しかし、防衛陣地づくりを先に進める必要があるため、負担はプラスマイナスであった。
計画を建て、防衛陣地づくりを始めたとき、他の隊員たちが続々と集結してきた。みな、疲れた様子だったが、迎撃に失敗すれば死を意味するため、無理やりやる気を振り絞っていた。
もう午後3時だったので、交代で昼食を取りつつ、陣地づくりをした。幸いなことに、敵が近づくと、CROSS艦が伝えてくれることになっていた。
そのかわりに、CROSS艦から、さまざまな兵器が輸送されてきた。レーザー式の固定式マシンガンや強化ウラン砲弾式の誘導ミサイルランチャーといった、どれも異次元レベルの最新兵器であった。この最新兵器の存在は、上社たちの戦意を向上させた。陣地づくりの手が進む。
そして、夕方になり、即席とはいえ、しっかりとした防衛陣地が完成した。しっかりといっても素人なので、実際の防衛能力は不明だ。それでも、上社たちは自信に満ちていた。
アスファルトを剥がして塹壕を掘る余裕は無かったので、地下の東京メトロの地下鉄(既に運航を停止していた)を利用することにした。いざとなれば、地下鉄に潜るのだ。地上と地下との階段があるところをトーチカとし、地上側の出入口のところに固定式マシンガンを設置した。
レーザー式の狙撃銃も手に入ったので、命中率に自信がある隊員にそれを持たせ、建物の屋上に配置した。
そして、防衛陣地の真ん中に、この世界レベルのレーダーを無効にするジャマーを設置した。
これで、敵を迎え撃つ準備は整った。桜田通りに今いるのは、CROSSだけだ。道路の向こうから冷たい風が吹いてくる。
敵が来るまで、上社たちは休憩することにした。しかし、冬なので寒かった。彼らCROSSが着ている専用の軍服は、異次元レベルの特殊な布を使ったものなのだが、肌が外気に触れる部分は寒気を感じる。
そこで、官庁街の道路に散らばっている書類を集め、それでたき火をして暖を取った……。「極秘」と大袈裟に記された機密書類もあったが、たき火として燃やしたり、鼻をかんでいた……。
隊員たちが口にしている飲食物は、官庁街にあるコンビニから「調達」したものだ。官庁街から少し離れたところから集結してきた隊員によると、経済地域のコンビニは売切、繁華街のコンビニは略奪騒ぎという事態に陥っているとのことだ。CROSSが完全に掌握したこの官庁街にコンビニがあったことは幸運であった。(といっても、その店からすれば、略奪と同じことであろうが……)
作品名:上社(兄)の758革命 作家名:やまさん