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上社(兄)の758革命

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 ……しかし、そんな心配はすぐに消えた。

 なぜなら、いつのまにか現れた佐世保が、その警察官の首にナイフを突き刺していたからだ……。警察官は引き金をひく暇も無く、息絶えていた。彼女はニヤリとしながら、ナイフを首から引き抜く……。深い傷口から血が噴き出し、塵が積もった床を赤く染める。
「ありがとう」
上社がはっきりとした口調でそう言うと、佐世保は顔を一瞬赤めた後、
「油断するんじゃないわよ!」
そう言うと、残りの警察官を駆除するために、逃げるようにその場から走り出した。

   バリバリッ!!! バリバリッ!!!

 そのとき、ほとんど骨組みだけと化している天井から、きしむような異音が響き始めた。それだけでなく、コンクリートの粉塵がもうもうと中から降ってくる。
「まずい!!!」
天井が今にも崩れそうだった。建物全体が崩壊するとまではいかなそうだが、1階部分が潰れるぐらいはありえることだろう……。いくら鉄筋コンクリート製とはいえ、タンクローリーの大爆発とこの戦闘には耐えきれなかったのだ。
「今すぐこの建物から退避しろ!!!」
上社は隊員たちにそう叫んだが、すでに建物外へと退避を始めていた。目の前にコンクリート片がガシャリと落ちた。部隊員の後に続く形で、彼も建物外へと退避しようとした。

 しかし、出入口のすぐ近くのところで後ろを振り返ったとき、残りの警察官たちとまだ戦っている佐世保を目撃した……。天井からの異音など耳に入っていない様子で、彼女は無我夢中に戦っていた……。天井はもう限界で、いつ崩れてもおかしくない……。
「大変だ!」
脳裏に弟の姿が映ったが、彼は構うことなく、彼女を連れ出すために走り出す。


「それ!!!」
佐世保は、頭に降ってくるコンクリートの粉など気にせずに、残りの警察官と戦っていた……。警察官たちは逃げたそうにしていたが、敵に背中を向けるわけにはいかない様子であった。
「グハッ!」
彼女が1人駆除したとき、上社は彼女の首根っこを掴んだ。
 彼女は一瞬、敵に掴まれたのかと思ったが、彼に掴まれているのだとわかると、また顔を一瞬だけ赤らめた。
「何するのよ!!!」
「天井が崩れそうなんだよ!!!」
彼がそう言ったとき、彼女はやっと、天井は崩れそうであることに気がついたようだ。このあいだのすきに、残りの警察官たちはどこかへ走り去ることに成功した。

 上社と佐世保は、大急ぎで出入口へ向かった。ときどきコンクリート片が落ちてきたが、運好く当たらずに済んだ。しかし、不穏な音は、その不穏さをどんどん増していく……。
 そして、飛び出すように出入口から外で出たとき、1階の天井が一気に崩れていった……。まるで映画のような流れだったが、そんなことに関心を抱く余裕は無かった。