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上社(兄)の758革命

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 警視庁舎1階で激しい炎が燃え盛っている中、あの消防車が法務省舎から出てきた。バック走行しているので、スピードはゆっくりだが、力強さを感じさせる。消防車は向きを変えることなくバック走行のまま、警視庁舎のほうへ走ってくる……。
 頑丈な消防車の影に隠れる形で、部隊員全員をこちらへ安全に移動させるというわけだ。消火装備を向けてのバック走行ならば、運転手も安全だ。

 そして、部隊員全員が無事に、警視庁舎の玄関付近に着くことができた。消防車は玄関の目の前で止まり、突入のタイミングをうかがう上社や部隊員たちの盾となった。
 敵の姿は見えなかったが、まだ炎が激しく燃えており、このまま突入するのは難しそうだ。そこで上社は、消防車で放水しつつ、突入することにした。消防車に乗っている隊員に指示を出す。
 運良く操作がうまくいき、消防車が放水を開始する。水はたっぷりあるようだ。まず、出入口のところで燃えていた炎を消火することができた。
 それと同時に、上社たちはその出入口から中へ突入する。焦げ臭い匂いや炎による熱が彼らを出迎えたが、彼らの神経は索敵に集中しており、そんなことは誰も気にしていなかった。

 1階ロビーにいた警察官たちは、消火作業に追われており、銃ではなく、消火器や消火ホースを手にしていた。もちろん、上社たちに気づくと、消火作業をやめ、応戦体制に戻ろうとした。しかし、銃を手にする前に、次々に隊員たちに撃破されていった。運良く間に合った警察官は、まだ燃えていない机の影などに隠れることができ、上社たちに応戦した。
 上社たちの部隊は、この時点で知らなかったことだが、この警視庁舎内にある通信指令センターは、佐世保の爆破により壊滅していた。そのため、警察官たちの統率は乱れつつあった。しかし、警察官個人のやる気は壊滅していないようで、必死に上社たちの進撃を食い止めていた。
 だが、異次元最新レベルの武器や装備を持つ上社たちCROSSの前には無理があった。一人また一人と、レーザー弾で撃たれた警察官が粉末状になっていき、警察官の戦意は恐怖心からダウンしていく。それに対し、上社たちの戦意はアップしていく。最新鋭の兵器を手にしているという安心感が、戦意を高揚させていたのだ。

 1人のSATの警察官が、大きな盾を前方に突き出しながら、上社に突進してきた。キチガイみたいな大声をあげていることから、ヤケクソの攻撃なのだろう。
 上社は、冷静にその盾にレーザー弾を命中させた。レーザー弾の高熱で、盾はどんどん溶けていく。
「このガキ!!!」
ヤケクソ警察官は、溶けた盾を横に放り投げ、そのまま上社に体当たりしようとしてきた。
 しかし、すぐに近くにいた無名の隊員によって、その警察官は粉末状になった……。やはり、1対1のドラマチックな真剣勝負など、なかなか実現しないものなのだ。
「くらえ!!!」
そう思ったのもつかの間、焼け焦げた机の影から、別のSATの警察官が現れ、上社の頭部にサブマシンガンの銃口を向けた。
 その瞬間、上社は死を意識し、思わず目をつぶった。そして、自分が死んでも弟は独りで生きていけるだろうかと心配した。彼は、残された唯一の家族である弟の鳴海を大事に思っていた。