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上社(兄)の758革命

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 上社は遠慮することなくタンクローリーに乗り込むと、エンジンをスタートさせた。彼は普通免許しか持っていないが、少し運転するぐらいはできるだろう。
 そのとき、多目的VTOL機のエアリアルによる近接航空支援が行われたらしく、激しい銃声や衝撃音がここまで聞こえてきた。
「よし」
航空支援による心地良い音を聴き終えると、彼はタンクローリーを発進させた。けん引免許も持っていないが、接続されているタンク部分はうまくけん引されている。 官庁街をまた通る際、クラクションを鳴らした。行きに会った隊員が、笑いながら手を振る。ちょうど、トラックの中がいっぱいになろうとしているところであった……。これからどこかへ運ぶつもりなのだろうか。
 上社のタンクローリーは、道路に散らばっている書類に車輪の跡を残しつつ、警視庁舎のほうへ走行していった。上社は運転しながら、自分が考えた案を、法務省舎にいる隊員たちに手早く伝えていた。


 そして、警視庁舎周辺まで来た。航空支援により敵スナイパーが排除されたらしく、狙撃などの攻撃はもう無かった。道端に、敵スナイパーの物と思われるちぎれた腕が落ちていた……。ここでの近接航空支援を終えたエアリアルが、どこかに飛んでいくのが見えた。
 敵スナイパーが排除されたことに安心したらしく、上社はスピードを一気に上げた。タンクローリーが向かう先には警視庁舎の玄関があった……。一方、隊員たちはというと、突っ込んできたあの消防車を動かそうとしているところであった。
 警視庁舎の玄関に突っ込む寸前で、上社はタンクローリーから飛び降りた。地面を転がった際に擦り傷を負ったようだが、傷には構わずに、コンクリート製の太い柱の影に急いで隠れた。そして、ポケットから起爆装置のリモコンを取り出した……。いつでも押せるように、起爆ボタンの上に指を置く。

 警視庁舎にタンクローリーが玄関から突っ込んでいくのを、上社はスローモーションを見ているかのような感覚で見届けた。タンクローリーの訪問を受けた1階ロビーから、ガラスや人が壊れる音声が、彼の耳にも届いたが、罪悪感など湧かなかった。なにせ、これから追い打ちをかけるのだ……。いちいち感傷に浸っている余裕など無いというわけだ。
 それからすぐ、彼は躊躇することなく、リモコンの起爆ボタンを押す……。

   ドォォォーーーン!!!

 警視庁舎の1階ロビーで大爆発が起き、彼が隠れている太い柱だけでなく、建物全体が揺れた。爆発による炎が、玄関から勢いよく飛び出してきた。しかし、逃げようとする人は飛び出してこない……。
『上社部隊長、無事ですか?』
法務省舎にいる隊員からだった。あの消防車のものらしきエンジン音もいっしょに聞こえてくる。どうやら、準備はもうできているようだ。
「俺は大丈夫だ。それより、突入開始だ! さっき言ったようにしろよ」
『わかりました』
上社の指揮と案による警視庁舎突入が始まった。