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上社(兄)の758革命

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 そして、上社は法務庁舎の玄関まで来ると、開け放たれている自動ドアの中に飛び込んだ。敵スナイパーの銃弾が、自動ドアのガラスにひび割れをつくる。敵スナイパーは、ひとまず諦めたらしく、もう撃ってこなかった。
 上社は、約100メートルの距離を、敵スナイパー2人の狙撃を見事にかわしながら走り続け、約100メートル建物に逃げ込むことに成功したというわけだ。


「すご〜い!!!」
「かっこよかった〜!!!」
一部始終を見ていたらしい2人組の女隊員(白人)が、上社に黄色い声を上げる。彼は恥ずかしそうにしながら、ここの部隊長を探しに行った。
「私、あの人に一目惚れしちゃった!!!」
「あら、私が先に好きになったのよ!!!」
その2人組は口論を始めようとしたが、ロビー中に響き渡るほどなので、近くにいた黒人の隊員に怒鳴られて黙った。
 ちなみに、その2人組の女隊員の外見は、「中の下」レベルである。イケメンの上社とは釣り合うまい。

 法務省舎内にいるのは、CROSSの人間だけのようだ。職員や来訪者は、向かいの警視庁舎か地下鉄にでも逃げ込んだのだろう。CROSSが踏み込んだときの混乱から、書類があちこちに散らばっていた。
 そして、警視庁担当部隊の現地指揮所は、1階ロビーの受付前に設けられていた。会議用の机同士を合わせて置いてあり、広々としているテーブルの上には、警視庁舎周辺の地図が広げてあった。そして、そのテーブルの近くにはここの部隊長がおり、地図をじっと見ていた。その部隊長は、CROSS艦の転送室で怒声を飛ばしていた中隊長の男だった。
「応援に来た上社です。何か手伝えることはありますか?」
上社が声をかけると、部隊長は顔を上げ、
「じゃあ、警視庁舎にどう入るかを考えてくれないか?」
イライラしている口調で言った。敵スナイパーに相当悩まされているらしく、膠着状態に陥ってしまっているらしかった。このままでは予定が狂ってしまう。
 上社は、部隊長といっしょに地図を見始めた。しかし、地図の書き込みから、案は出し尽くされた感があった。上社は、他の案を必死に考え始めた。
 しかし、10分経っても案が出ないでいると、部隊長は意を決した様子で、胸のバッジ型無線機に手を触れた。
「このままここにいるわけにはいかない! 一気に片をつけるぞ!」
部隊長は自信満々の強気な口調で言った。つまり、犠牲を恐れずに突入させるという、決死の突撃戦法を使うということだ……。その言葉を聞いた隊員たちは、やるせない様子でいた。どうやら、ついさっきこの突撃戦法を使い、こちらに死傷者が多数出てしまったかららしかった。
「ほらほら、早く準備しろ!」
やるせない様子でいる隊員たちに、部隊長は行動を促す。隊員たちは渋々といった感じで、レーザーライフルを構えると、おそるおそる法務省舎から次々と出ていった。敵スナイパーが撃った銃弾が、隊員たちのすぐ近くを通りすぎていく。幸いにも、うまく物影に隠れることができたようだ。
「おまえも行け!」
「……わかりました」
応援なので、上社も行くことになった。決死の突入は嫌だが、自分だけ逃げるわけにはいかない。