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【創作】汝は人狼なりや?【NL】

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ベッドに横たわったディルは、また夢を見た。

飾り付けた部屋のテーブルには、ご馳走が隙間を埋め尽くすように置かれている。

『誕生日おめでとう、ディル』

父の声を合図に、母が手作りのバースデーケーキを持って現れ、姉が大騒ぎしながら、テーブルに場所を確保しようとしていた。

『いいか、ディル。お前に言っておきたいことが・・・・・・』

父の言葉に、姉が「また始まった」と耳打ちしてくる。
それは繰り返し聞かされていたはずの、今まで忘れていた言葉。

『・・・・・・覚えておきなさい。お前がこの先、どれほどの苦難に見舞われようと、私達はお前とともにいる。お前がどれほどの孤独に襲われようと、私達の心は、お前とともにある』

父の大きな手が、そっと頭に置かれた。

『死が我々を分かつても、魂は常にともにある。覚えておきなさい』

どうして、忘れていたのだろう・・・・・・

父が、笑った。母も、姉も笑っていた。
姉が自分を抱き締め、耳元で囁く。

『もういいよ、ディル。幸せになってね』



目を覚ましたのは夕方で、顔中涙と鼻水でぐしゃぐしゃになっていた。
ベッドに横たわったまま、ディルは口の中で父の言葉を繰り返す。

『死が我々を分かつても、魂は常にともにある』

再び涙が溢れ、頬を濡らしていった。

「ごめん・・・・・・ごめんなさい・・・・・・ごめんなさい・・・・・・」

繰り返しながら袖口で顔を拭うと、ベッドを這い出る。
窓に視線をやれば、外はオレンジ色の光に包まれていた。鳥達の騒々しく鳴き交わす声が、夜の訪れを告げている。

夕飯・・・・・・の前に、顔を洗ってこないと。

ディルは音を立てて鼻をすすると、洗面所へ向かった。