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【創作】汝は人狼なりや?【NL】

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その夜は、確かに夢も見ずに眠れた。
朝、目を覚ましたディルは、自分が家族を見捨てたような罪悪感にかられる。

忘れてしまった訳じゃない・・・・・・ローズを救う為なんだ。

この件が片づいたら、また孤独に戻るからと言い訳しながら、ディルはベッドから這い出た。


十数年ぶりの熟睡は、かえって疲れを自覚させる結果となる。だるさを感じながらも、ディルは台所で朝食の支度を始めた。

「おはよう、ディル。いい匂いね」
「おはようございます、ローズさん」

ディルが振り向くと、ローズが苦笑して、

「他人行儀な挨拶はやめて。貴方がいなかったら、私は今頃吊されていたわ」
「・・・・・・俺は、何も出来ませんから」
「あの時、来てくれたでしょう? 村人達が押し掛けてきた時」

真っ直ぐな視線が、ディルに向けられる。

「心強かったわ。貴方が来てくれなかったら、私は立っていることも出来なかった」
「俺は、何も」
「貴方が見守っていてくれたから、アスターの申し出も受け入れたの。本当に感謝してる。来てくれてありがとう、ディル」

ローズは隣に立ち、ディルの腕に手を置いた。驚いたディルは、もごもごと意味不明な呟きを漏らす。艶のある髪と伏せられた睫に、視線が釘付けになった。

「ローズさん・・・・・・」
「お願い、ローズと呼んで。貴方がいてくれたから、私」
「おーい! お二人さん! どこにいるんだい!? まだ寝てるのか!?」

アスターの声が響き、ディルは慌ててローズから身を離す。

「台所にいる! 運ぶのを手伝ってくれ!」



三人でもくもくと朝食を平らげていたら、突然庭から悲鳴が響き渡った。
ディルは驚いて立ち上がり、ローズも目を見開いて窓に視線を向けるが、アスターだけが落ち着いてティーカップに口を付ける。

「放っておきたまえ。大方、警察官が庭にでも侵入したんだろう。僕は警告したんだけどねえ。明日、ローズの身の潔白を晴らしたら、大人しく彼らに協力するというのに、せっかちなものだ」
「でも、怪我をしていたら」

ディルは、自身が襲われた時のことを思い出したが、アスターは笑って手を振った。

「大丈夫。ちょっと手荒に外へ運ぶだけだ。でも、君がそれほど心配するなら、後で電話しておこう。捜査の進展についても聞きたいしね」
「貴方が、捜査に協力するの?」
「そうだよ、ローズ。何かおかしいかい?」
「いいえ。魔道士と警察は、仲が悪いと聞いていたから」
「全体的にはね。でも、僕は善良な一市民として、警察への協力は惜しまないつもりだよ。もっとも、彼らには煙たがられているが」

アスターはローズにウィンクし、ローズがくすくすと笑う。ディルは居心地の悪さを感じながら、急いで皿のベーコンを口に押し込んだ。