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ウエストテンプル
ウエストテンプル
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ナイトメアトゥルー 3

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「あなたの{夢}の中の世界の場合、彼女達の意志どうこうよりも、彼女達を引きこんでしまったといった表現の方が妥当か…。なのかな…。」

やはり、またぶつくさと言い直した。
この件に関しては表現するのは難しいようなので、自身で考察を試みる。
…………………。
中学時代に見ていたあの{夢}の世界に、俺の好きな子が出てきていたのは、俺が引きこんでしまっていたのか?
そういうことなのか?
でも、追浜や待瀬が出てきたことを考えると俺が引き込んだと考えた方が適切か。
…………………。

「ふーん、そうか。…。
じゃあ、追浜が「俺と同じ夢を見た」と言ったり、待瀬が排泄したものと俺が食べさせた物と完全に一致していたのは、それらが一般的な夢の世界では無く、あの{夢}が現実と表裏一体の世界だったからってわけか…。」

「そう、そしてその裏の世界を私達の間では{ナイトメア}と呼んでいる。」
工藤 ユキの歯切れの悪さが治った。
「ナイトメア?」
「その{ナイトメア}の種類は様々で、あなたのように現実を完全に再現した世界の人もいれば全く現実と離れたファンタジーのような世界の人もいる。
{ナイトメア}に陥る可能性は男女ともども数万分の一とかなり多い。
そして男性はその世界では確実に体のサイズを小さくされた状況に置かれる。」

「じゃあ、その{ナイトメア}ってやつに引き込まれちまう奴らは、その中で死んだら俺同様に?」

「いや、あなたのケースは稀。
10年寿命が縮まる{ナイトメア}は数億分の一。」

「宝くじよりも確率が低いのに当たったのか?俺。」

「{ナイトメア}を持ってしまった男性の中でもほぼ大半は寿命が縮むタイプでは無く、現実世界に対し何らかの悪影響が出るだけの人もいる。
ただ、それらは実害が無く不運な出来事として片付けられてしまう。」

「じゃあ、お前を含め、女性は?」

「私の世界はこのベッドルームのスペースだけだ。
私の場合は、あなたのように月に一度では無く、毎日、{ナイトメア}の世界に引き込まれる。
そして、{ナイトメア}に引き込まれてしまうため、睡眠時に得られる成長ホルモンを分泌されなかった。よって、私の体は第二次性徴前に成長を止めた。」

「そうなのか、でも、お前は寿命こそ縮まらないんだな。」

「寿命が縮むのは男性だけ。
逆に、女性は{ナイトメア}の中で出会った男性を死に至らしめることによって現実世界に還元することができる。」

「還元って、女性にはお得なのか?」

「そう、追浜 叶絵と待瀬 清麗はあなたの{ナイトメア}に引き込まれ、不可抗力かあるいは無意識的にあなたを死に至らしめた。
そして本人達は、現実世界において余分な皮下脂肪を減少させた上でバストアップが起こった。」

男性の{ナイトメア}は、引きこんだ女性の糧になってしまうのか。
あれ、でも…あの人はどうなんだ?
ふとある人物を思い出してしまった。

追浜 美絵さんだ。

あの歳であのボディラインや肌の艶はどう見ても10代のそれであり、単なるアンチエイジングでは説明がつかない。

そして、その身近にいた人間は…。
健康体そのものなのにある朝突然亡くなった、彼女の夫だ。

「もしかして追浜の親父さんは…。」

「あぁ、彼もあなたと同じケースだった。
彼の場合、{ナイトメア}の中で追浜 美絵を5回引き込み、追浜 美絵に5回殺された。
もちろん追浜 美絵自身にはそういった自覚は一切無かったわけだが…。」

「俺周りで数億分の1が立て続くとは…なんなんだ。」

「わからない。
ただ、この件については後手後手に回ってしまった結果として大いなる反省がなされ、私たちはああいった形の{ナイトメア}を持ってしまっている男性達を調べ上げた。
そして、あなたを見つけ出した。
あなたが私と同じクラスで追浜 叶絵と幼馴染であったことは本当に偶然だった。
私の上司は、私にそのままあなたの{観測者}であるようにと指示を出した。」

「じゃあ、俺は…。
でも、待ってくれ。
それこそ喫茶店の時から聞きたかった事だったんだが、俺はこの{夢}を中学の頃から見ている、その中で何度か死に至るケースがあった。
だからもう完全にオーバーキルではないか?
もしかして、俺の寿命って仙人級なのか?」

「いや、あなたは昼間言った通りに、中学時代までは{ナイトメア}で死に至ったとしても不運な事が起こる程度だった。
だから本人にも周囲にも実害無しとされ私達も所見無しとした。」

工藤 ユキは言い終えたが、俺には言葉が浮かんでこない。
だから彼女は言葉を続けてくれる。

「だが、高校入学後にあなたの{ナイトメア}は様相を変えた。
これは寿命短縮タイプとしては記録上最速。
つまり、中学時代までは完全に{ナイトメア}の状態までにはなっていなかった。」

さらに、工藤 ユキは続ける。

「通常であれば追浜 美絵の夫のようにある程度年齢を重ねてから完成するケースだった。
私は4月と5月の満月の日にあなたの{ナイトメア}に介入する予定だった。
しかし、追浜 叶絵と待瀬 清麗の強いおもいには勝てなかった」

思い…?想い…?重い…?
あいつらの?
あいつらが{ナイトメア}に出てきたのは俺から引き込んでしまったからじゃなかったのか?

「強いおもい?」

「…、何でも無い。
そして、六月の満月の夜に私はあなたの{ナイトメア}に闖入してしまっていたことに気がついていなかった。
結果、あなたの寿命を10年奪ってしまった。
最初、私は私の{ナイトメア}から解放され表の世界に付随している普通の夢を見ているものだと思ってしまった…。
内容があまりにも昔、兄にやってしまったことと同様すぎて…。」

最後の方は聞きとりずらい程小さな声だった。
表情もどこか悲しそうである。
お前の兄は現実世界でもヨーグルトまみれにされる程小さいのか?

でも、今、聞きたいことはそこでは無い。
「なぁ、奪われた寿命って戻るのか?」
はっと我に返ったような表情の工藤 ユキ。
再び抑揚の無い声で語り出す。

「あなたのような寿命短縮型の場合、次の{ナイトメア}までに寿命を奪った相手と{ナイトメア}内で遭遇し条件をクリアすれば、奪われた寿命を取り戻すことができる。
だから今夜は私の{ナイトメア}に呼び込みあなたの{ナイトメア}で奪った寿命10年分を返す事にした。
だから…かなえ…いや、追浜 叶絵と待瀬 清麗の分については……。」

みなまで言わなくともわかる。
20年は戻らないってことか…。
しかし、10年戻ってくるならば俄然と気になってくる。

工藤 ユキの手の平の上で食い入るように工藤 ユキの目を覗き込む。

「それはどうやってやるんだ?」
「今回は…、」

言いかけながら、工藤 ユキは俺を手の平に乗せたままキャミソールを脱ぎだす。
当然、工藤 ユキは全裸となった。
それは全く凹凸の無い体だった。
白砂青松の言葉を当てはめたいほど美しい体だ。
その美しき体の持ち主は、
「この中に入って、あなたの抜け殻を探しだすのよ。」
と言い、全く膨らみの無い右胸を指差した。
「これよりももっと小さくなって私のおっぱいの中に入るのよ。」