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でんでろ3
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ピンポン球の密室(直美シリーズ2)

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「何をバカなことを言い出すんだ」
「何も人間が入るなんて言ってないわ。入れるサイズのものを入れておくの」
「ナノマシンか? いや、目に見えないサイズであのサイズのサインを水晶に彫るとなると……。それで、1週間か? いや、待て、サインは1週間かけて徐々に現れたんじゃなくて、1週間目に突如現れたんだぞ」
「それに、ナノマシンの問題点を1つ。水晶の削りカスが出るわ。これは美しくない」
「なるほど」
「カヴァリのやることではないわ」
「カヴァリがやったっていうのか?」
「えぇ」
「聞かせてくれ」
「事件の大分前、といっても、そんなに前ではないんだけれど、カヴァリが真空水晶球を美術館に寄贈する少し前に、カヴァリに暗雲が差すの。大口の融資が3つほど、同時にまとまらない方向へと流れ出したの」
「それで?」
「そして、この事件がおきる。そして、あるパーティーが行われるわ。かなり、急に、決まったようで、そのことに腹を立て、不満を表す参加者がいたことが、ネットに記録として残っているわ。この日付なんだけど?」
そう言って、見せて来た直美のタブレットを覗き込んだ。
「確かに、真空水晶球を貸したのはその頃だったな」
「そのあと、3つの融資が連続して決まっているわ」
「なぜだ?」
「おじさま、さっき、事件当事者しか知らないような情報は漏らさない、って、言ってたわよね」
「あぁ」
「偽者の怪盗ミルフィ~ユのサインの後ろの方のLが2個だったって言うのもそうなんじゃない?」
「あぁ」
「それを、事前にカヴァリが知っていたら、millefeuilleというサインが、カヴァリというサインの代わりにならないかしら」
「……ならんでもないが、だからなんだ? なぜ、怪盗の真似事が大口融資につながる?」
「話を少し戻しましょう。真空水晶球の中にいて、サインを書いたものはなんでしょう?」
「何なんだ?」
「それは、これよ」
直美が、こちらに向けたタブレットに映っていたのは、先ほどの子供科学雑誌の記事だった。
「な、直美? ほ、本気か?」
「えぇ」
「まず、第1にだな、それは、まだ、国のトップのごく一握りの人間しか触れられないものだ。第2に、そんな素性もよくわからん地球外生命体を、ひょいひょい地球に持ち込んだら、人類、いや、地球滅亡の危険があるぞ」
「んー、まず、第1に、この細菌を見つけたのはカヴァリの社員なんでしょ。その時、少しくすねておくことはできたわよね。第2に、……、うん、そういう奴を、きっとバカっていうのよ」
「つ、つまり、あれだな。『俺たちは、地球外生命体すら自由にするすごい奴らだぜー』って、ところを見せ付けて……。しかし、津鞠洋司氏が、そんなにバカだったとは……」