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でんでろ3
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ピンポン球の密室(直美シリーズ2)

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「ちょっと待って、その真空水晶球とやらが小さいのは分かったけど、何? そのグダグダな予告状? 『今日から』って、滅茶苦茶話が急だし、『1週間以内』って、期間長すぎでしょ。何、それ、嫌がらせ? 警備する方の身にもなりなさいよ」
直美は、思い切り感情移入してくれたようで、オーバーに手を振り回した。
「良くぞそこに気付いてくれた。警察側もその点にムカつき、また、予告内容の不可能さ加減からも、無……いや、単なるいたずらとして処理することにした」
「そして、無防備なところを?」
「いやいや、今回もまた、うるさい連中が出てきてね」
「誰?」
「カヴァリの連中さ」
「えぇっ? どうして?」
「その真空水晶球を作ったのが、他ならぬカヴァリだったからさ」
「だったとしても、予告状のことは、どうして……? あっ、トゥーカの時と同じように漏れたのね」
「『同じように』ではないな。この事件の時に限って、予告状は警察にしか送られてこなかったのだ。だから、あの時よりは、遙かに漏れにくかったはずだが、そんなものはカヴァリの力の前では何でもなかっただろう」
「……警察、大丈夫?」
「漏らしてはいけない情報は、漏らしてません。事件の当事者しか知らないこととかね。と、とにかくだ。美術館の警報装置の強化と警察側とカヴァリ側から数人ずつ警備に当たることになった。そして、もちろん、その中に、私と津鞠洋司氏もいた」
「社長自ら?」
「あぁ、『これを傷つけられるのは、我が社の名誉を傷つけられるのも同じ』と言ってな」
「ねぇ、津鞠社長って、どんな人?」
直美は、少し考えてから言った。
「あぁ、それがな、とても大企業の社長とは思えない気さくな人でな。職人からの叩き上げって感じの人だった」
「……そぅ」
「それが、どうした?」
「うぅん、それで、結局、どうなったの?」
「あぁ、それが、6日目まで、何も起きず、7日目も、何も起きずに終わるように見えた」
「何も起きなかったんじゃないの?」
「警報装置にも何の反応もなかった。防犯カメラにも何も写らなかった。そして、何より、誰も何も目撃しなかった。しかし、最後に真空水晶球を確認してみると……」
「どうしたの?」
「真空水晶球の内側に怪盗ミルフィ~ユのサインがあったんだ。後ろがL2つのね」