覇王伝__蒼剣の舞い1
「確かに、今攻め込まれたらひとたまりもないな」
都を一望する室の中で、蒼国宰相・瑠邑は唇に笑みを浮かべた。
その表情は、口から上を覆う銀色の仮面で窺い知る事は出来ない。
七年前、蒼国建国と当時に若き蒼国国主・蒼王の補佐に就いた瑠邑は、蒼王不在と聞いても落ち着いていた。
「申し上げます。四獣聖・朱雀さまがお越しです」
「朱雀どのが?」
「如何いたしましょうか?」
「___吾の許可が必要ですか?朱雀どの」
取り次ぎの背後にいつの間にか立つ人影に、瑠邑はその笑みのまま羽扇を煽いだ。
「蒼王は、戻ってるよ」
四獣聖最後の一人、朱雀は悪戯な笑みを浮かべ、そう告げた。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い1 作家名:斑鳩青藍