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覇王伝__蒼剣の舞い1

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 「レオンさま、この者たちお知り合いですか?」
 「まぁな。ここ一月の間に蒼国でな。悪い連中じゃないぜ。正義の味方ってやつだな」
 レオは、ニッと嗤っていつもようにカッカッカッと嗤った。
 だが彼の登場で、住人たちの警戒は少し緩んだようだ。
 「___しかし、貴殿と再会するとは」
 「偶然とは恐ろしいぜ、玄武どの。あのクソガキと知り合ってから、その偶然がよくもまぁ続く続く。しかも決まって、一合戦のおまけつきだ。更に、今度はその叔父貴がこうして俺の前にいる。まさか、呑気に四獣聖揃って観光ってわけじゃねぇだろ。ここがどういう所か、あんたは知ってるよなぁ?玄武どの」
 狼靖は、厳しい顔で頷いた。
 無国籍地帯___、別名“エリアX”。
 四国分国後、何処の勢力にも屈折、未だ抵抗を続けているこの地は、住人の殆どが前覇王の元で四国統一をなした剣士たちであった。
 それが覇王家崩壊と、黒狼、聖連異母兄弟の下に就く事に抵抗のあった彼らは、この地で今も抵抗している。
 「黒抄の黒王はともかく、白碧の白王ってどんな人なんです?父上」
 「一言で言って、何を考えているか理解らん方だ。黒狼さまは激やすく欲深、対し白王・聖連さまは静かで決して態度には出さない。紅王・凌姫さまが怖いのは聖連さまの方と昔よく云ってらした」
 「セイちゃんの兄弟って、個性豊か」
 個性が豊かなのも、善し悪しである。
 「問題は、その白王さまの目的だ」
 「蒼剣じゃないんですか?」
 「拓海、彼らの矢文に何て書いてあったか覚えているか?」
 「赤の谷、ですよね」
 「そうそれだけだ。蒼剣を持ってこいとは書いていない。しかも、清雅さまを連れて行った事も気になる。蒼剣が欲しければ主である清雅さまの命を奪えばいい。それから蒼国に攻め込めば。おそらく___」
 「星宿さま」
 「彼らの狙いは別のものかも知れない。それにはどうしても、清雅さまを生かしておく必要があるとしたら」
 「いったい何なんです?!」
 「我々を赤の谷に誘き出し、何かをするつもりなのは確かだよ。拓海」
 「つまり___それまでセイちゃんは無事ってこと。タクちゃん」
 逸る拓海の背をポンッと叩いて、焔が緊張を和らげていく。