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覇王伝__蒼剣の舞い1

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 その日は、朝から曇り空だった。
 いつも爽快というわけではないが、今朝は嫌に目覚めが悪い。
 「___紅王陛下、お呼びでございますか?」
 「何か変わった事ない?」
 「いえ、国内は至って何も…」
 「そう」
 四国唯一人の女王・紅華国主、凌姫は椅子に腰を下ろした。
 「それと」
 「なに?」
 「黒抄の黒王さまが、紅王陛下に会いたいと」
 「まさか、来ているなんて云うんじゃないでしょうね!?」
 「いえ、それは。これを先ほど使者が」
 「鏡?」
 凌姫は、一瞬嫌な感じがした。
 鏡を使って話をする、それはあの白碧の聖連が使う技だからだ。
 凌姫は、とりあえず黒王との会談に応じることにした。四国分国後、七年ぶりの会話である。
 「___久しいな、凌姫」
 「ええ、義兄上。今頃、何の用かしら。まさか、この南領をよこせと?」
 「いずれはそうしてもらう。だが今は別のようだ。そなた、『ドラゴンの遺産』を知っているか?」
 「初耳ですこと」
 「知らぬと?覇王家三兄弟の中で、父の信頼の厚かったそなたが」
 「知らないものは知らないわ。それがどうしたというんですの?」
 「___知らなければよい」
 「義兄、いえ黒王。聖連と組んで何をしようとしているのかしら?この鏡を使う手、あれの得意とするものよねぇ」
 「アレは、吾に覇王となるよう協力している。もう一度覇王家に四国を取り戻す為にとな。凌姫、お前も見習ってはどうは?」
 「お生憎さま。四国を自分の欲望のままに支配しようしている男に協力なんてする私じゃないわ。蒼剣が何故二人を選ばなかったか、未だ理解っていないようね」
 「だまれっ。あれは覇王家のものだ。この吾が受け継ぐべき筈だったのだ。凌姫、そなたの国もいずれ攻め滅ぼしてやる。蒼国同様にな!」
 「受けて立つわ、黒王」
 会談終了後、鏡は自然に砕け散った。
 しかし。
 ___ドラゴンの遺産って何なのかしら…?
 凌姫は考えるが、思い当たらない。父である前覇王から、そのような事は聞いたことがないのも事実だ。
 「申し上げます…!」
 「今度は何なの」
 「蒼国からの報せで、蒼王さま行方不明と」
 「なん…ですって…!?」
 凌姫は、思わず椅子から立ち上がっていた。