覇王伝__蒼剣の舞い1
「ほぅ、二人を逃がされたか?蒼王どの」
「身軽の方がそっちもいいだろ?」
「確かに…」
頭巾から除いた口がニヤッと嗤う。
清雅は、細い金棒を握り締め白い影たちに向かっていった。
理解っている。こんなもので、彼らには勝てない。
だが、妙なある確信があった。
彼らが欲しいのは蒼剣には間違いのだが、彼らからは今まで襲ってきた者たちから感じられたものがない。
これは賭だ。
狼靖たちに知られたら、さぞ怒られるだろうな。
清雅はふっと嗤って、倒れながらも防御する。
____キン…っ。
宙を舞い、二つに折れた鉄棒が石畳に落ちた。
「そこまだ、蒼王」
「…好きにしろ」
清雅は、やはりなと思って抵抗を止めた。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い1 作家名:斑鳩青藍