覇王伝__蒼剣の舞い1
「___玄武さま、未だお休みになられてなかったのですか?」
蒼国王城中庭、星空を煽ぐ狼靖に星宿が声を掛ける。
「何となく、胸騒ぎがしてな」
「玄武さまもですか」
「清雅さまは、ご無事だろうか?」
「今のところ、王都で何も起きていないと報せがありました」
「白い影が潜伏していると云う情報だったな、確か」
「ええ、それが?」
「妙だと思わぬか?白碧も狙いは蒼剣の筈。なぜ、一気にここに来ない。しかも、あの連中が王都で何もせず唯潜んでいるだけとは変だろう」
「狙いは、清雅さまの命だと?」
「いや」
断定も否定もできない。
唯、清雅を誘き出す手は黒抄の刺客と大差はない。
違うのは、未だ何も起きていないと云うこの妙な違和感だ。
___何だ?
星を凝視するが、答えは見つかることはなかった。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い1 作家名:斑鳩青藍