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覇王伝__蒼剣の舞い1

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 王都は、これといって何も変化はなかった。
 物売りの市が並び、港では漁船が新鮮な魚が水揚げされ、子供が噴水の周りを駆け回る。ごく普通の、ごくありふれた風景。
 「平和ですね」
 「七年前、蒼国が建国されからここも平和になりました。元々は、東領の小さな街でしたが」
 尚武の邸にて、町並みを見つめながら拓海と尚武は紅茶を口に運ぶ。
 「これからも続きますよ、きっと」
 穏やかで平穏な日々が。
 「そうですね。あの方ならそうして下さりますね」
 蒼剣が選びし、未来の覇王。
 その男は、一人部屋にいた。
 龍王剣を鞘から静かに抜き、暫く睨んだ後元に納める。
 亡き父・前覇王が母・桜に贈った龍王剣。その後、母の血を吸い、更に戦いにおいて人を倒してきた剣。
 母は、こんな息子の未来をどう思っているのだろう。
 覇王家とも関係ない世界で、覇王の息子としてではなく、この街の人々のように平凡な生活を望んだ事だろう。だが、もはやそれも叶わない。
 彼は、四獣聖となった時から剣を四国の為に振るうと決めた。
 嘗て、前覇王が龍王剣一本で四国統一と民を護るために立ち上がったように。
 清雅は、奇しくも父親と同じ道を歩むことになったのである。
 だが。
 この時、直ぐ間近に迫る危機を清雅は気づけなかった。
 あまりにも近すぎて、そして安心できたから。