覇王伝__蒼剣の舞い1
「____で」
夕方、拓海は唖然となった。
水を汲みに井戸に向かった時だ。
「お世話になります」
「お世話って…、はい?」
「僕、雑用に雇って貰う事になりました」
にっこり嗤う少年に、拓海は派手に桶を落とした。
「あの、リョウ・オンさん」
「何でしょうか、拓海さま」
「四獣聖候補無理って…」
「ええ、蒼龍の清雅さまにきっぱりと。ご覧になっていたじゅありませんか、嫌だなぁ
。あの人の候補なんて、僕なれません。ですから、雑用に志願しました。水汲みなら僕がやります。なんでも云ってくださいね♪」
___頭が痛くなってきた…。
結局、リョウ・オンは王城に留まるのである。
こうして、清雅の周りには人が集まっていく。
___いつか、戦いのない世になるといいな。
拓海は、茜に染まる空を仰いだ。
そんな彼の視界に、ある人影が横切る。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い1 作家名:斑鳩青藍