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覇王伝__蒼剣の舞い1

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 「随分な云われようだ」
 側にいた拓海は、一層後悔する。
 どう考えても、これから向かう蒼国の国主はまともには思えない。
 十八歳になるまで、野武として自由に育ったと云う蒼王は七年年前突然、蒼国国主になった。
 前覇王の末子にして、平民の母をもつ彼はそれまで覇王家の生活など無縁で、自分が前覇王の子など知らなかったという。それが突然「王になれ」と担がれて、彼にとって青天の霹靂だろう。
 「貴方に勝ち目はありませよ。どうやらご子息殿はまだ剣を振るえぬようですから」
 「蒼王さまを殺しても、蒼剣が黒王さまを選ぶとは思えんが」
 「たかが剣一振り、従わせずして覇王ではないでしょう」
 元四獣聖でも敵は十数人、圧倒的不利である。
 ___こういう場合、正義の味方が現れるものだ。
 昔読んだ絵本を思い出し、拓海は目を瞑った。
 ___そんな都合よく、来るわけないけど。