覇王伝__蒼剣の舞い1
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___よし!
決心して広場に向かった拓海に、リョウ・オンと共にレオもいた。
「遅かったじゃありませんか、拓海さま」
「リョウ・オンさん」
「ね、先生」
「先生?あの…レオさま?」
「あぁ、こいつの剣の腕を見る事になった。ま、お前の後輩だ」
「よろしくお願いします、拓海さん」
「ちょっと、レオさま」
「蒼王が、そう命じたんだよ」
「冗談…」
「いや、直接云われたからな」
拓海の思考回路は、また迷走を始めた。
一番、四獣聖が何たるか理解っている男がリョウ・オンを受け入れた?
「あの人、また昼寝してましたよ」
「ああ、小龍の事か」
「一度も稽古してないのに。どういう人なんです?」
「どうって…、なぁ拓海」
「えぇっ、僕?」
どういえばいいのだろう。
口が悪く、自由人、気は長い方ではなく、王様らしくない王様。
___なぁんて云ったら、僕の方が、即ここ追い出されるよなぁ。
「あの通りの人だと思いますよ」
うまくごまかしたつもりが、引きつる笑顔にレオが呆れた顔をした。
拓海は、顔に出てしまうのだ。
だが、リョウ・オンはあっさりと信じた。脳天気なのか、天然なのか、単純なのか、それとも全部なのか、拓海の説得させるという決心は砕かれた。
「僕、絶対小龍さんなんかよりも四獣聖になります!」
「まぁ、頑張れや。蒼龍候補」
「ところで、蒼龍の清雅さまはどちらに?他の四獣聖の方にはお逢いしましたが、そんなにお加減がよくないんですか?」
「いや、元気だ。お前、本当に顔知らねぇのか?」
「はい」
「早くお逢いしたいなぁ♪蒼龍の清雅さまに」
リョウ・オンの声と同時に、背後に靴音。
「げっ…」
そこに、気にいらげな男が一人。
「___会えるぜ。近いうちに、な」
「随分、詳しいようですね?小龍さん」
当然である。本人なのだ。
対抗心を燃やすリョウ・オンに、小龍(清雅)はフンっと鼻を鳴らした。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い1 作家名:斑鳩青藍