覇王伝__蒼剣の舞い1
白碧にも、その報せは届いた。
蒼剣が、再び輝いた事も。
「____やはり、生かしておけないねぇ。義兄上のように利用する事もできないんだから。ま、お前が吾の為に働くなんてしないと思うけど。でも、蒼剣は未だ確実に目覚めていない。その前に、お前には一つだけ役にたってもらうよ。それくらいしてくれていいだろう?この義兄の為に」
クククと嗤いながら、白王・聖蓮は鏡を撫でる。
「白王陛下」
「計画は失敗した。義姉上を取り込め損なった。次の手を打たないとな」
「何なりと」
「天狼星を探せ」
「天狼星?」
「蒼剣に並ぶもう一つの剣だ。父がこの四国の何処かに隠したと云われている。興味そそられると思わないか?須黒。あの父が何故隠したのか。この事は義兄上も義姉上も知らない。もしかしたら、蒼剣に何かしらの関係があるかも知れない」
「ですが…」
「お前が、清雅をその手で倒したいのは知っている。勿論、そうしてもらう。お前は四国最強の剣士の座、吾は覇王家二本の剣を手に覇王の座、望むものは何でも手に入るぞ。吾は、お前を信頼している」
「__御命令、謹んで承ります。吾が君」
須黒は、片膝を付き恭しく頭を下げた。
そんな須黒を見送って、聖蓮は再び鏡を見つめる。
「___お前にも、役に立って貰うよ。今までいじょうにね、影よ」
「___はい、聖蓮さま」
鏡の中の人物は、静かに答えた。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い1 作家名:斑鳩青藍