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覇王伝__蒼剣の舞い1

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 蒼剣___、自ら主を選び覇道に導く伝説の剣。
 四国統一がなされる32年前、蒼剣は突如として一人の男の前に現れる。
 今でも四国に延々と語り継がれる、覇王伝説。一振りの剣が導く覇道に、後の人は惹かれ力を得ようと荒そう。
 覇王の死と共に、蒼剣は主を失う。次の覇王を求めてさすらい、人がそれを求めて荒そう。その真意を知る事なく。
 前覇王は、知っていたのかも知れない。自分が死んだ時、四国は再び揺れる事。そして、次なる覇王の出現を。
 それが誰なのか、それは蒼剣しか理解らない。
 本当の意味で、四国を想い、人を惹きつける人望を備えた人間___覇王となった蒼龍王の近くには、そんな人間はいなかった。故に彼は、覇王家の後継を決めることはなかった。
 まさか、一度も会うことのなかった四番目の息子を蒼剣が選ぶとは、まさか同じ道を進むとは思わなかっただろう。
 「…あれが蒼剣?」
 拓海は、男の手にしている剣を見つめた。
 柄と鞘は黄金、蒼く大きな貴石を中心に填めた見事な剣。
 刀身は蒼い光を纏い、その場にいる誰もが動けない。
 それを手にしているのは、蒼銀の甲冑を纏う男。
 「遅すぎ、セイちゃん」
 「清雅さまぁっ…!?」
 緊迫している状況とは思えぬ、焔と拓海の声。
 癖である髪を掻き上げる仕草は、すっかり見慣れた光景だ。
 「まったく、お前ら何やってやがる」
 「誰の所為だと思ってる、誰の」
 「まぁまぁ、焔。敵は動揺し始めたぞ。まさか清雅さまが来るとは思っていなかったようだ」
 「このツケ、きっちり払ってもらうよ。セイちゃん」
 ___凄い、この人たち。
 拓海は、あっという間に形勢を逆転させた彼らを見つめながら、固唾を呑んだ。
 何よりも、未だ蒼く光る蒼剣が、清雅の手にある事。