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覇王伝__蒼剣の舞い1

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 「あいつは、母親が目の前で殺されるのを見てる。奴らの狙いは、その母親が持っていた剣だった。___いや、奴らはそれが探している剣だと思ってた。もし剣が目当てなら、あいつは剣を抱いて倒れていねぇ」
 つまり___。
 「父上…っ」
 拓海が堪らず、狼靖を見た。
 彼らは、桜が持っていた剣が蒼剣だと思いこんでいたのだ。
 前覇王が愛した平民の娘、その娘に前覇王は狼靖の手を介し、嘗て愛用の龍王剣を贈った。
 更にそれから覇王家から蒼剣が消え、彼らは桜の存在を知り、剣を贈られたと知るのだ。誤った情報と共に。
 狼靖は、あの時の清雅の怒りの訳を知った。
 『何故もっと早く来てくれなかった…!その剣の為に、お袋は死んだんだ!!』
 王となる事に頑なに拒絶する清雅の前で、蒼剣は蒼く輝いた。
 新たなる使い手として。
 そして、覇道を行く資格者として蒼剣は彼を選んだ。
 清雅がレオと過ごしたのはその前の八年間。
 果敢な少年期を、血生臭い戦場で過ごし、前覇王譲りの天性の剣捌きで彼は四獣聖になった。
 初めは復讐から手にした剣。
 もし、その間に精神(こころ)の変化が起こらなければどうなっていただろう。
 「___やはり、あなたは清雅さまを助けて下された」
 「だから俺は何もしちゃいねぇって。あいつは自分で立ち直った。やっぱ蒼龍王の息子だぜ。それに、あいつは気づいているか知らんが、人を魅了するものまである。でなきゃぁ、叔父のあんたは別として、他の四獣聖がヤツの下に就くたぁ考えられねぇ」
 そして、もう一人___。
 「ドン・レオンシャークさま、僕に剣を教えてください」
 拓海は、ある決意を胸にレオに申し出ていた。