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覇王伝__蒼剣の舞い1

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 外に出るなり、拓海がうわぁと感嘆の声を上げた。
 星が、宝石箱をひっくり返したように空に散っていたからだ。
 拓海の育った村でも星は見えたが、その比ではない。
 「レオンシャークどの…」
 隣にいた父・狼靖が前を行く男に声をかけた。
 「ふ、あんたかい?小龍から聞いたことがあるぜ。叔父貴が玄武だってな」
 「お礼を申し上げます」
 「礼?俺はあんたに礼を云われる事はしてねぇが」
 「貴方が清雅さまを助けてくださった」
 「俺は単に、拾いものをしただけだぜ。何せ、あいつは本当なら死んでた。10歳のガキが、一刀両断されて助かるなんてあり得ねぇよ。血は争えねぇな、まさか蒼龍王(ろうりゅうおう)の息子とはな」
 「覇王陛下を知っておられるのか?」
 「あいつが持っていた剣を見た時な」
 蒼龍王___、四国四兄弟の父にして前覇王。
 清雅が腰に差す剣はその前覇王が、蒼龍王と名乗っていた時に腰に差していたものだと云う。
 未だ四国が統一される、遙か数十年前の事だ。
 レオンシャークことレオは、牙の村を偶然通りかかったに過ぎない。
 戦場から戦場へ渡り歩く獅子の隊を率い、次の戦いの場へ行くその途中で牙の村の惨状に出くわし、女性の側で血塗れの子供を拾った。
 その子供が、嘗て共に戦った男の剣を抱いていた。
 運命の巡り合わせとはよく云ったものだ。
 レオは、軽く嗤って話を続けた。