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覇王伝__蒼剣の舞い1

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 獅子の隊____各地を転戦する自由戦士の集まり。
 覇王家崩壊後、小競り合いが頻発していた四国を彼らのような者たちが戦いの中心にいた。覇王家嫡男・黒狼が力でもって四国を制しようとし、それに反発する地方領主の戦いは、殆ど毎日何処かで繰り広げられていた。
 獅子の隊は、主人には就かずまさに自由戦士である。
 その首領の名を、レオンシャークと云う。またの名を“戦場の荒獅子”
 「しっかし、お前ぇにはいつも驚かされるぜ。小龍」
 唖然とする星宿、焔、拓海の前で、その男はカッカッカッと嗤っていた。
 「セイちゃん、凄い人とお友達」
 「誰が友達だ!こんなクソ親父」
 「おい、小龍。恩人だぜ、俺は」
 「フン」
 寝台の上で上体を起こしている清雅が、鼻を鳴らした。
 数時間前、まさに戦場のような乱闘が嘘のような中、王城に帰ってきた彼らの前で獅子の名をもつ男は急に真面目な顔になった。
 「あの時、俺が拾ってなかったら死んでたぜ。あれが、最初だな。お前ぇに驚かされたのは」
 「…」
 「普通あり得ねぇぜ。10歳のガキがバッサリやられて生き返るなんてよぉ」
 「レオ、あんた老いたんじゃねぇのか。ベラベラ余計な事をしゃべりやがって」
 「まぁいいじゃねぇか。あの洟垂れが今じゃ蒼国の主だ」
 そう云って、またカッカッカッ嗤うのであった。
 だが、二人を除くその場にいる誰もが清雅の過去に興味を持った。
 少なくとも、星宿は10歳の清雅と一度会っている。
 八年後、再会した時には面影はなく、殺気を漂わせる太刀筋は星宿を震撼させた。
 その八年間を、レオンシャークは知っているのだと。
 「___またあいつか?」
 「__」
 「その傷、あいつだろう?15年前、お前とお前の母親を襲い、そして殺した男__」
 そう言いかけたレオの胸ぐらを、清雅が掴んだ。
 「…そうさ。俺が復讐鬼にならなかったのは、出会った人間の所為だろうな」
 そう、彼らに出会っていなければ。
 強くなりたい、強くなってあいつらを殺してやる___そう云って剣を握ったあの頃の自分ではない。
 静かに暮らしたい___些細な母・桜の願いを清雅は取り戻す為に今剣を手にしている。
 争いなどなく、穏やかで平穏な日々をもう一度。
 「いい事だ、小龍」
 レオは、ふっと嗤った。