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覇王伝__蒼剣の舞い1

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 背後からかかる声に、二人の肩が同時に跳ね上がった。
 一番知られたくない男が、壁に寄り添って睨んでいたからだ。
 「答えろ」
 「嫌だなぁ、セイちゃん。怪我の所為で余計怖い顔になってるよ」
 「聞こえなかったか…?」
 焔の喉元に、ピッタリと剣先が押し当てられていた。
 命を奪うつもりはなくても、清雅の場合は十分に相手を震えさす脅迫になる。それが彼なら許されるのは、彼が四獣聖にとってもこの蒼国にとっても必要だから。
 「___刺客が現れました。狙いは玄武さま父子です」
 「性懲りもなく、みえみえの手を使ってきたか…」
 「唯、妙な事が。敵はどうして玄武さまが王城にいない事をしっているんでしょう?」
 「そんな事より、あの半人前は今何処にいる!?」
 そう怒鳴った清雅の躯がグラリと傾く。
 分厚く巻かれた上体の包帯からは再び血が滲み、激痛に清雅の顔は歪んだ。
 「行かれるおつもりですか?清雅さま」
 「…当然だろ…、こう何度も人の敷地で暴れておいて…俺が黙っていると思うか?お前らだって…同じだろうが。本当は俺に内緒で動こうとした癖に…、よく云うぜ…。安心、しろよ…。一人でやるなんて云わねぇから。尚武に云やぁ、二人ぐらい運んでくれるぜ…」
 「その手があったか。ナイス!セイちゃん」
 「清雅さまは?」
 「白虎、理解ってるだろうが…」
 「馬、ですか?その躯で?」
 「死にゃしねぇだろうさ。俺は…お前らより実戦経験と乗馬経験豊富…だぜ。何しろ、10歳の子供の時からだから、な」
 彼には叶わない。星宿は思った。
 いつもの彼より不利なのは理解っていたが、拓海を助ける為には馬を使いこなせる人間でなれば間に合わない。