覇王伝__蒼剣の舞い1
「清雅さまっ」
目にいっぱい涙を浮かべ、見下ろす少年がいた。
「…お前…、玄武の息子…」
「はい、拓海です」
清雅の手をしっかりと握り締め、拓海は顔を綻ばせた。
「器用な奴だな…、泣くか笑うか、どっちかにできねえのか…?」
声に力はないが、口の悪さは復活の清雅に拓海は頷くしかない。
「ま、お前には感謝するべきだろうな…」
「は?」
もし、あの時伸ばされた手を取らなかったら。
「何でもねぇよ…」
素直じゃないのも、以前のまま。
彼の意識は、再び落ちていく。
今度は苦痛もなく、安らかな眠りの世界に。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い1 作家名:斑鳩青藍