覇王伝__蒼剣の舞い1
背まで伸ばされた癖のある髪に日焼けした肌、自由戦士の出で立ちよろしく腰には剣、焔よりも年長の男は嫌そうな顔でこっちを見ていた。
「焔…てめぇ…」
「相変わらず、口悪いね。セイちゃん」
「悪かったな。何しに来やがった」
「何しにって、もちろん本職復帰♪またセイちゃんとやれるしィ」
「懐くんじゃねぇ!いいか?俺は自由がいいんだ」
「へぇ、その割には子供連れだね」
「僕は子供じゃありませんっ。拓海と云う17歳の…」
そう名乗った瞬間、周囲がどよめいた。
「…へぇ、君が噂の玄武の後継者?ライ、君のライバルだよ」
「ライバル…?」
「そ。彼は四獣聖候補だってさ。玄武さまは七年前に引退しちゃったし、復活すると云っても実戦経験には七年のブランクがある。ねぇ?セイちゃん」
「知るか、そんな事」
「冷たいねぇ。叔父で養父の玄武さまなのに。それとも、もう彼に決めた?セイちゃん」
「てめぇ、さっきからよくも…、その名で呼ぶなと云っただろう!この半人前があのクソ親父のようになるかは知らんが、なりたくてなれるもんじゃない。どんなに腕がたとうとな」
「ま、昔は名門の出が条件だったけど」
「あの…焔さま?」
ライが、恐る恐る二人に割っていった。
拓海と同じく、四獣聖に憧れる青年は、未だある事に気づいてはいなかった。
いや、群衆の誰もが。
「何?」
「お話を伺っていると、焔さまは玄武志願ではないので?」
「違うよ。聞いてなかった?本職復帰さ。四獣聖の」
「そうですか___…、えぇ−−−−!!」
「僕は朱雀。こんなに会うのを楽しみにきたのに、リ−ダーは何しに来たと云う。可哀想だと思わない?」
「そちらの方は?」
「四獣聖のリーダーと云ったら一人しかいないっしょ」
「ま、まさか…、蒼龍の清雅さま…?」
「ピンポーン♪」
「この脳天気野郎っ!!」
大衆の面前で、清雅の短い導火線は爆発した。
本当に、仲?なんだろうか。
拓海は、四獣聖の印象をまたしても崩されてしまうのであった。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い1 作家名:斑鳩青藍