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覇王伝__蒼剣の舞い1

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 四獣聖___覇王を護る為に結成された最強集団。
 蒼龍を筆頭に、白虎、玄武、朱雀の四人からなる彼らは四国にいる剣士の中の頂点にいる。
 興りは、四国統一前、一人の男が剣一本で四国全土を駆け巡り、やがて集った三人と共に四国を統一した事による。
 そう、前覇王である。
 覇王となる前、彼も清雅と同じく野育ちの自由戦士であり、後に蒼龍の剣となる龍王剣を手に、民のために立ち上がった。その時の三人が、後に拓海たちの父となる男である。
 世襲が決まりと云うわけではなかったが、後に嘗ての四獣聖を父とする名家の息子が同職に就いた事から、平民出身の狼靖を除き名家出身と云われるようになり、四獣聖は更にその存在を庶民から遠くした。
 その中にあって、清雅の存在は異質かも知れない。
 どう見ても、名家の息子には見えない。無類の戦い好き、口は悪く、放浪癖あり。
 玄武の狼靖を叔父とし養父と云う事がなければ、とてもこの優秀集団のそれも統括者になれない。
 __ありえない…。
 拓海は、不機嫌そうな男を前に嘆いた。
 しかも、この蒼国の国主・蒼王ときた。
 ついこの間も、一人で刺客の前にやってきた。助けに来たかと思いきや、その気はさらさらなく、拓海は初めての実戦を強いられたばかりだ。
 普通の人間では、彼の下には就けない。
 「セ・イ・ちゃん♪」
 「来るな。ぶった斬る」
 ___ありえない…。
 朱雀の焔は、普通ではなかった。
 救いは、側で微笑ましく笑う白虎の星宿と、冷静に観察している拓海の父、玄武の狼靖だ。
 「清雅さま、黒抄もいよいよ本格的に動き始めましたね。この蒼国まで刺客を送ってくるとは」
 「相手をするまでだ」
 「それはなりません」
 「玄武さま」
 「清雅さま、お立場をお考えください。七年前ならともかく、今の貴方はこの蒼国の王です」
 「その王に担いだのは、狼靖だろうが」
 「貴方は、この東領が黒王さまに陥ちてもよかったと?黒王さまの事は、誰よりも貴方がご存じの筈。更に、貴方には我が妹の血のみならず、前覇王陛下の血も流れていられる」
 「黒王だって、その覇王の血引いてるぜ」
 「ですが、黒王さまは覇王陛下の御遺志を継がれなかった。蒼剣が黒王さまを選ばなかったのは、力の強さではないと云うのに」
 「狼靖、俺は黒狼を許しはしねぇ。この手でぶった斬る」