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覇王伝__蒼剣の舞い1

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 「___清雅さま…?」
 拓海の前に立ち塞がる広い背中も、その乱暴な声も“彼”のものだ。
 「人の敷地で狩りとは、いい度胸だぜ」
 「狩りって…、ちょっと…」
 「理解らねぇか?狙われたんだよ。蒼剣を隠し持っていた男の息子も、奴らには我慢ならねぇって事さ」
 厳しい視線を前に向けたまま、清雅は薄笑いを浮かべている。
 この口の悪ささえ除けば、四獣聖の蒼龍で、蒼王でもある納得できるんだが。
 拓海は、緊迫した場面にいながらもそう思っている。恐怖が引いていくのを感じながら、その安心感を与えているののは清雅だ。
 何故七年前、蒼国の人々が彼を主としたのか、拓海は何となく理解るような気がした。
 いや、待て。
 「何で、僕まで狙われるんですかぁ…!?」
 「来るぜ」
 __人の話、聞いてないし…。
 飛んでくる矢を交わす剣の金属音と、数人が同時に動く足音。
 「ちょっと、清雅さまっ」
 「お前、剣どれくらいできる?」
 「…実戦経験はゼロです…」
 「なら__」
 「はい?」
 ずっしりとした重みに、拓海の思考回路は再び迷走する。
 彼の手には、剣が一降り。ようは、これで戦えと云う事だ。
 実戦経験ゼロだと、いうのにであるにある。父・狼靖を振り返ったが彼は彼で刺客相手に奮戦中である。
 「お前、まさか守ってもらおうなんて考えちゃいないだろうな?もし思ってんなら、とっとと国に帰る事だ。だが、奴らはしつこいぜ。ここまで追ってくるくらいだ。お前はそこで、奴らに怯えながら暮らす事になる」
 「僕は、そんな弱虫じゃありませんっ」
 何のために、父についてきたのか___。
 四獣聖に憧れ、その四獣聖になる為に。
 「上等だ、玄武の息子」
 清雅は、また一人倒して嗤った。