覇王伝__蒼剣の舞い1
同時に、清雅は黒抄国に命を狙われる羽目になる。いや、恐らく蒼国以外の人間の多くは清雅を放っておかないだろう。天下争奪に、蒼剣は必要不可欠。再び主を失えば、次に手にした者が覇王の権利を掴めるのだから。
「俺には、龍王剣一本ありゃぁいいんだが」
「陛下が、逃げ出すお方ではないことは重々承知しております」
王に拘らない、見捨てろと云っていても清雅はこうして帰ってくるのだから。
「___で、陛下」
視線を再び当の主に向けた時、目の前で座っているであろう男は消えていた。
「清雅さまなら、お出かけになりましたが」
卒倒しそうな眩暈に、怒る気も失せて彼らは、こうしていつもように許してしまうのだ。
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い1 作家名:斑鳩青藍