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チキンというやまい(更に改題)

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「もう芝居じみたことはやめよう。可奈がここに移って来たことは偶然じゃないと思っているよ。可奈はぼくを許してくれたんだよね。ぼくも可奈に対しての怨恨的なものは払拭できたと思う。やり直そう。これからでも遅くはない」
 可奈が起き上がると河田は身をかがめて彼女を抱きかかえた。
「ありがとう。だったらもう、わたしは泣くことをやめるべきね?」
 抱かれながら可奈はそう云い、しかしまだ嗚咽に終止符が打たれる気配はない。
「そうだよ。再出発を提案したいな。どうだろうか」
「それで、いいのね?……嬉しい……雅人って、こんなに優しいひとだった?」
 可奈は漸く笑みを浮かべながら、無理な体勢から立ち上がろうとしている。河田は彼女の両脇に手を移動してその行動をサポートした。
「余計なことを思い出さなくていいよ。コーヒーを待ってるから、向こうに戻ろうか?それとも手伝う?」
 河田の笑顔に応えて可奈は輝くような笑顔を見せながら首を横に振った。
「驚くような美味しいコーヒーを、期待してて」
 今度は急に真剣なまなざしになった彼女は、食器戸棚の傍に動いた。
「じゃあ、向こうで待ってるから、よろしく」
 可奈が淹れるコーヒーは極めて美味しいことを思い出しながらリビングに戻った河田は、今夜のこれからに就いて考えようと思った。だが、やはり、三年前のあの日の記憶を蘇らせないことは不可能だった。