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漢字一文字の旅  第三巻

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十二の二  【詳】



【詳】、言偏に「羊」で、詳しいという意味になる。

かって「羊神判」(ようしんぱん)という裁判があった。それは争う当事者が獣の「羊」を差し出すことで執り行われたようだ。
もちろん審理に当たって、裁判官は当事者の主張を十分に聞き、調べた。つまり、それが【詳】だそうな。

そんな【詳】、「詳しく教えてください」や「詳細は?」などの言葉は日常的に使われている。
それではここで問題を。
【詳らか】――これはどう読むのでしょうか?

答えは平安時代から使われていた(つまびらか)。美しい響きがある言葉だ。
だが、「内容をつまびらかにしてください」なんて迫られたら、なにか真綿で首絞められるようなもの、かな?

また「不詳」と「不明」の違いがよく話題になる。
例えば、「年齢不詳」。
これは現段階ではわからないが、詳しく調べればわかる状況をいう。
そして「年齢不明」はまったくわからないこと。

とにかく【詳】は、「羊神判」にかけられ、【詳らか】(つまびらか)にされてる事態ということなのだろう。