漢字一文字の旅 第三巻
十一の四 【味】
【味】、右部の「未」は枝が茂ってる木の形だとか。
その新芽の味が良いため、口偏に「未」が付いて、旨(うま)い味わいの意味になったそうな。
えっ、新芽がうまいって?
確かに柔らかいが、カイワレに空心菜など決して腹がふくれるものではないぞ。
そんな【味】には甘味、酸味、塩味、苦味、旨味(うまみ)の5つがある。
その中の旨味は、1908年東京帝国大学の池田菊苗教授によって昆布からグルタミン酸を抽出することにより解明された。
他に鰹節にはイノシン酸、干し椎茸にはグアニル酸、これらも旨味とわかった。
そして、それらには相乗効果がある。
例えば、精進料理は昆布だしに椎茸だし、これら二つの組み合わせ。
また日本料理では昆布だしの後、鰹節だしをとる。要はグルタミン酸とイノシン酸の合体だ。
これで旨味は100倍増すと言われてる。
ならば手っ取り早く、「旨味三兄弟」(グルタミン酸、イノシン酸、イノシン酸)が入った調味料はないものか?
味の素はグルタミン酸が主のようだが、いの一番の成分はどうも「旨味三兄弟」のようだ。
ホッホー、今度一度使ってみようかな、と思うが、得意料理は電子レンジのチン料理。
それでも「旨味三兄弟」は活躍してくれるかな? とちょっと心配だ。
いずれにしても【味】、元は新芽の味だったが、今はチン料理まで広がりを持った漢字で……、あって欲しいと願いたい。
作品名:漢字一文字の旅 第三巻 作家名:鮎風 遊