小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

漢字一文字の旅  第三巻

INDEX|60ページ/113ページ|

次のページ前のページ
 

九の二  【棘】



【棘】、「朿」は先の尖った木であり、これが二つ並んで【棘】(とげ)。音読みでは(シ)となる。

薔薇に棘あり!
確かにそうだ。そしてこの忠告がさらに拡大され、「綺麗な花には棘がある」と言われてる。

これに反論する余地はないが、果たして薔薇の【棘】の真実はどうだろうか?
刺さればチクリと痛い。
しかし、昆虫などは棘の横をスルリとすり抜けるため、薔薇の花を守る役に立っていないのだ。

じゃあ【棘】は、何のためにあるの?
現代においても、これがよくわからないのだ。

それでも一説がある。
昔薔薇は高価でかつ貴重。栽培が出来るのは裕福な人たちだけだった。
そんな薔薇を盗みに来る薔薇泥棒から、薔薇が身を守るために【棘】を付けた、とか。

ホンマかいな、と言いたくなるが、薔薇泥棒はきっとイライラしただろう。
このイライラが草木の【棘】、すなわち草木のトゲの意味の「苛」(いら)を繰り返して「苛苛」(いらいら)となった。

とにかく【棘】、現代人のイライラに大いに繋がっていて、苛苛の代わりに、毎日棘棘(トゲトゲ)じゃ! と叫んでも気持ちは伝わるような気がするが……。