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漢字一文字の旅  第三巻

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九の一  【悩】



【悩】の右部は、幼児の頭蓋骨の縫合部分を「ひよめき」と言うらしいが、そこに頭髪が少しある形だとか。
それが心の立心偏に付き、「なやむ」となったようだ。

そんな【悩】、聖火に衣冠を整えて拝む人の形の「煩」と組み合わさり、人間の欲である熟語「煩悩」を作る。

さて、煩悩は一般的に百八あると言われているが、その百八つは何なのだろうか?
単に百八つは多いことを言ってるだけとされているが、それでも百八つを主張する三つの説がある。

(1)
眼(げん)/耳(に)/鼻(び)/舌(ぜつ)/身(しん)/意(い)は人間の感官能力の六根。
これらそれぞれに好(気持ちが好い)/悪(気持ちが悪い)/平(どうでもよい)の思いを持ち、これで6x3=18。
それにそれぞれ浄(じょう)/染(せん:きたない)があり、18x2=36。
そして、前世/今世/来世の三世があり、36x3=108の煩悩となる。

(2)
月の数が12、これに二十四節気の24と七十二候の72を足し合わせて、108。
うん、確かに108にはなるが……。

(3)
人間はいつも四苦八苦。
だから、四苦(4x9=36)と八苦(8x9=72)を足し合わせて、108。
これで煩悩は108と言い切る。
その思い込みと迫力に思わずパチパチパチと拍手がありそうだ。

(1)、(2)、(3)のいずれも御名算。どの説を取るかは個人の自由。
されども、ことわざに……煩悩の犬は追えども去らず、とある。
108に関係なく、煩悩は追っ払えないものだと言う。

あ〜あと苦悩のため息が出るが、安心してください。
悩み多きはなにも日本人だけではない。
日本人妻を持つ外国人夫にも悩みが。ブログに掲載されてあったので、参考に転載させてもらうと……

日本人妻を持つ外国人夫の悩み
言葉できちんと説明して欲しいと言うと、疲れると言われる。(以心伝心って何?)

玄関で忘れ物して、一生懸命爪先歩きで家の中に入ってるのに靴を脱げと怒る。
でも、はだしで外に出ると怒る。(もう理解不能)

日本の若い男子に嵌っている。(ジャニーズとかいうらしい)

傘ささないから毛が抜けたのよ、海草を食べないからハゲたのよ、となじられる。
等々

されども――えっ、これって、外国人夫の悩み?
日本人夫の悩みと一緒じゃん! と叫びたい。

【悩】、それは万国共通で、結局残された手は、百八つの除夜の鐘で煩悩を取り払うしかないのだ。