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漢字一文字の旅  第三巻

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七の五  【黒】



【黒】、元の字は嚢(ふくろ)にものがある形で、それに下から火を加えて、嚢の中のものを焦がして黒くすることだとか。

そんな【黒】、V6の、いやひらパー兄さんの岡田准一が演じる大河ドラマ・黒田官兵衛が面白い。

黒田官兵衛は戦国時代から江戸時代前期へと、その動乱の時代を駆け抜けた。
その生涯の中で一番の危機は、荒木村重が織田信長に謀反を起こし、寝返るなと説得に行ったが幽閉されてしまう。
信長は官兵衛が裏切ったとし、長男の松寿丸(黒田長政)の殺害を命じる。
友人の竹中半兵衛が信長を説得し、後日助けられる。

二つ目の危機は、豊臣秀吉が高松城を攻めている時に、明智光秀による本能寺の変が起こった。
秀吉は打ちひしがれたが、黒田官兵衛は毛利家と和睦を結び、急いで光秀を討つべきと進言した。
秀吉は官兵衛が天下を取るつもりだと疑った。
されでもその案通り、中国大返しをし、山崎の戦いで明智光秀を滅ぼした。
その後は軍師として立場をはっきりさせ、豊臣家のために奮闘した。

そして三つ目の危機は、秀吉の朝鮮出兵で石田三成と確執が生まれた。そんな中で、秀吉が没。そして関ヶ原の戦いへと突入して行く。
この時は官兵衛は「如水」(じょすい)と名乗り、長男の長政とともに徳川家康の東軍につき、石田光成の西軍と戦う。そして勝利。

長政は福岡藩を任せられ、官兵衛は隠居となる。
そして京都伏見藩邸で59歳の生涯を閉じる。
キリシタンであった官兵衛の辞世の句は
おもひをく 言の葉なくて つゐに行く 道はまよはじ なるにまかせて

宣教師にルイス・フロイスは後日記している。
官兵衛のすべての功績は如水、水の如く消え去って行った、と。

こんな黒田官兵衛が側室を設けず一途に愛した女性は、正室の櫛橋光(くしはし・てる)。
7歳年下で、15の時に嫁いできた。
てるの一番の危機、関ヶ原の戦いで石田三成が大名の妻子を人質に取ろうとした時、細川ガラシャは自害した。しかし、てるは家臣たちによって救出され、豊前国中津城へと船で脱出する。
官兵衛以上に波瀾万丈だった。されども75歳の生涯を全うする。

いずれにしても【黒】、どこまでも力強い漢字なのかも知れない。