双子エピソード
ごはんがおいしいから(レイス)
「アル、お前はなんでここにいようって思ったんだ? お前の性格なら、こんなとこ、うっとうしいだけだろ?」
「そうですねぇ……。確かにうっとうしいんですけど。でも、ごはんが、おいしいんですよね」
「は?」
「あ、ほんとですよ。タトラさんのあったかいごはんが、おいしいし、ユイスさんのおかしもおいしいし」
「メシに吊られたってのか?」
「えへ、お恥ずかしながら」
「呆れた。けど、メシくらい他のとこにだっていくらでもあるだろう? それにお前、そんなにメシに執着するようなタイプだったか?」
「うーん、別にそうじゃなかったと思うんですけど、なんでですかねぇ。なんだか、人生で一番おいしいなって思ったごはんと、ここで食べるごはんが、なんか、すごく近い気がして」
「人生で?」
「ええ、ただの白いご飯だったんですけど。すごく、おいしかったんです。なぜか。ディーヌ先生のとこのご飯だったんですけどね。ガルグでも同じようなもの食べてたはずなのに、なんでこんなに違うんだろな、って」
「ああ、そ、っか」
「なんですか、にやついて。レイ兄さんがにやつくと気味悪いですよ」
「んだと、締めるぞ、アル!」
「もう締めてるじゃないですか。苦しいですって」
「な、アル、今度俺の飯も食うか?」
「嫌ですよ。レイ兄さんのごはん、悲惨じゃないですか」
「……。白飯くらいは炊けるぞ」
「それくらいなら、タトラさんの残飯にありつきます」
「んだと、てめぇ、俺の飯が食えねぇってのか!」
「僕だって、レイ兄さんのひどいご飯で死にたくありませんからーーー!!」