正しいフォークボールの投げ方
「全体的に散っていた感じですね。変化球は一球だけカーブが。最後の球は、ストライクを取りに来た球だったので、若干スピードを抑えていた感じでしたけど、差し込まれてしまいましたよ。でも、次は打って見せますけどね」
「なるほどな。やっぱりセオリー通りに、球を投げさせてご降板を……」
ノムラの話しの最中に、
「ストライク、バッターアウト!」
高々とコールが響いた。二番打者のツチヤが空振り三振を取られたのである。
「やれやれ、一年坊主は頼り無いな。大府内の切り込み隊長のオレが手本を見せてやる」
先輩の威厳を醸し出しながらノムラは打席に入ったが、
「ストライク、バッターアウト!」
空振り三振に切って取られてしまった。
大府内高校の攻撃は、織恩高校とは打って変わっての三者凡退に終わった。
作品名:正しいフォークボールの投げ方 作家名:和本明子