moonlight 改稿版(後編)
巧は後ろ頭に手を当て、顔を赤らめる。
「そうなの!?」
ネオはクイッ! と急に巧の方へと振り向く。
「巧、モッテモテじゃないのよー」
やるねぇ! とみちるは巧の背中をバシバシ叩く。
うげっ! と巧は呻く。
「そーなんスよ! オレは巧よりも先に教室に帰ってたんスけど、しばらくすると廊下から女子たちの声がうるさくて、なんだと思ったら、コイツが渋々(しぶしぶ)とサインを書いていやがったんですよーっ!」
ふてくされた表情で巧に指を差す。
「そ、そーいうー健斗だって、サインを書いてたじゃないか!」
「違う! オレはサインを書くぞーとアピールしても、『ナル男には興味はないっ!』『アニオタはどっか行けっ!』って断られたんだよ! おまえだけいい思いしやがって」
立ち上がり、こんのー! と巧の首を健斗は絞める。
「ぐええええ――っ!」
蛇のような腕を前に、巧は喚(わめ)く。これで健斗はロックフェスから巧に二敗目。悔しさが滲(にじ)み出ている。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ