moonlight 改稿版(後編)
「そうっスね。最高だったス」
「はい」
健斗と巧が続く。
彼女たちは達成感で溢れた顔つきだった。どんな風に楽しかったと聞かれても具体的な理由などない。ただただ、あのステージが楽しかったのだ。
こんな異例な部活に『特別枠』としてバックアップしてくれた、生徒会と総合祭実行委員会には感謝しないといけないなとネオは思った。
そして、自分についてきてくれた三人にも。
実緒の件から今日にかけてネオは、自分の背中にはこの三人やクラスメイトの友達、ライブを見に来てくれる人たち、家族など、力になってくれる人が背中にたくさんいるという自分に改めて気づくことができた。
自分もこの『瞬間』を忘れてはいけない、いや、忘れることのできないものとなった。
これからも自分と自分を支えてくれる人を大事にしながら、歌手と言う夢に向かって強く生きていこうとネオは思った。頼れる仲間がいるのだから。
「……それにしても、巧、おまえ、また女子たちにサインを求められていたよな……」
健斗はじろり、と巧を見つめる。
「い、いやあ……そ、それは……」
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ