moonlight 改稿版(後編)
「これは……みんなにも、そしてわたしにもありえることだけど……人は誰しも、悲しいときや傷ついたときに、ひとりになりたいことがあると思います。でも、わたしたちはひとりじゃない。見守ってくれる人が必ずどこかにいる。たとえ距離が離れていても、見えなくても、背中を支えているはずだよ。ひとりでも、誰かが見守っているからこそ、苦しい事を乗り越えることができるし、夢だって追いかけられるはず。手を取り合って、乗り越えて、それぞれの道へ進めるはずだよ。そんな想いを、歌詞に込めました。これは、大切な人がいる全ての人――最大の勇気を出してここに来てくれた、わたしの親友に捧げる、大切な曲です」
涙をこらえながら力強く訴えるネオ。震える口から、自分の気持ちの全てを言い尽くし、
「聴いてください。moonlight(ムーンライト)」
始まりの合図を告げる。
その瞬間、ステージのライトが、ネオだけを照らす。まるで、月から見守る聖女のようだ。
その聖女を、実緒は見つめる。
優しくて、力強いギターの音が鳴り響く。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ