moonlight 改稿版(後編)
ネオは、目を見開いて遠くの出入り口を見つめる。どこかで見たことがあるそのふわふわとしたその長い髪、それはまさに……、
「み、お……」
――彼女しかいない!
わたしの、唯一無二(ゆいいつむに)の親友。
彼女は、ゆっくりとネオたちのいるステージのへと向かって歩いてくる。その隣にいる実行委員長の大山茜が目配せしながら親指を立てる。
そして、その後ろには実緒の母が……。
――来てくれた……!
「……」
実緒の少し青ざめた顔が、人と接することが怖いと訴えかけているように、ネオには見えた。
準備は整った。その心を、少しでも和らげないと!
「お待たせしてゴメン! よーし、役者も揃ったことだし、今から最後の――moment'sとっておきのオリジナル新曲をやっちゃうわよ―――――っ!!!!」
右手を突き上げて、宣言する。
歓声の渦の中、たった一人の女の子を凝視しながら、ネオは真剣な目つきで学生たちを見つめる。そんなネオの雰囲気にのまれた学生たちは、静かに彼女の方へと顔を向ける。
作品名:moonlight 改稿版(後編) 作家名:永山あゆむ